で、なにがあるんですか?

留学をスタートさせたばかりの人達と話をしていると、多くの人に共通した反応に気がつく。

放課後やホームステイ先でのこと、週末やスクールホリデーについて、また選択科目など、時間の使い方や勉強について「何がしたいですか?」と、私達や先生、ホストファミリーが留学生に聞く機会がとても多い。

そんなとき、日本から来たばかりの留学生達はほとんどと言っていいくらい、「で、なにがあるんですか?」と聞き返してくる。

放課後どんなことがしたいの?と聞くと「何ができるんですか?」と聞き返す。ホームステイではどんな時間の過ごし方がしたいですか?と聞くと「どんなことがあるんですか?」と聞き返す。学校での勉強はどんなことに興味がありますか?と聞くと「どんな科目が取れるんですか?」と聞き返す。

こちらにしてみると、まずは留学生達の興味や関心、やりたいことを聞いて、できるだけそれに合ったことを提示しようとしているのだけれど、留学生達は最初から「選択肢を与えられること」を望む。

自分の興味や関心やりたいことを聞かれているのに、与えられた選択肢から選ぶという発想しか出てこない。

きっとひとり一人興味や関心のあることや、やりたいことはあるのだと思う。でも、それを聞かれたときに、素直に答えてもいいのだろうか、と無意識に考えてしまうのかもしれない。

そして、自分に質問をした人は必ず選択肢を持っていて、それが与えられてしかるべきで、しかも自分はその選択肢の範囲内で自分のやりたいことを実現していくことが当たり前だと思っている。

自分自身のことを聞かれているのに、自分自身で考えたり感じたりすることをそのまま伝えればいいのに、どこかに何か「正しい選択肢」があって、それに自分が合わせることが求められていると思ってしまう。

「だって、自分がやりたいことを言っても、それができなければしょうがないじゃないか。だから最初から何ができるのかを聞くのだ」とおっしゃる方もいるだろう。

確かに、自分がやりたいことを伝えたからと言ってその全てができるわけではない。

例えば中学生の年齢で車の運転がしたいと言っても、なかなか難しいだろう。

でも、もしかしたらホストファミリーの知り合いにファームをやっている人がいて、ファームで使うバイクなら少し乗れるかもしれないと、とりあえず聞いてくれるかもしれない。

選択肢になくても、自分のやりたいことがあれば、それを誰かに伝えることで、実現できる可能性も生まれてくる。

「あなたは何がしたいのですか?」と聞かれたら、選択肢や正解を与えられることを期待するのではなく、そのまま素直に自分がやりたいことを伝えてみればいい。

ニュージーランドでの留学では、逆にそれが求められているのだ。

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