ホームステイで夢のような生活
留学生の中には、ホームステイになじめない人もいる。
それは、なじめない人が悪いのでも、ホームステイが悪いのでもなく、そもそも、全く見知らぬ人の家に、長期間その家族と一緒に暮らすということ自体が、留学生とホストファミリー両方にとってストレスフルなことだし、その上留学生の場合は、言葉も通じない環境なので、人間関係をうまく作るまでにも時間がかかる。
でも、ホームステイになじめない留学生の中には、そんな自分を責める人がいる。私がきちんとしないのが、ホームステイマザーはあまり気に入らないみたいなんです、とか、私がステイ先の子どもの面倒をあまり見ないのが、うまくいかない原因なんです、などと言う。
中には、ホストマザーは好きなんですけど、子どもがうるさくて嫌いなんです、という留学生もいて、「本当は子どもを好きにならないといけないんですけど」と、子どもが嫌いな自分をまた責める。
でも、私たちがその留学生に伝えるのは、「言葉も通じない環境で、全く会ったこともない人達と同じ屋根の下で、最初からうまく暮らしていけないのは、あたりまえ」だということだ。また、「ホストファミリーの中の誰かのことが好きになれなくても、全くかまわない」とも伝える。
それを聞いて急にぱっと表情が明るくなって、「そう言っていただけると、ほっとしました。」と言う留学生もいる。
ホームステイは、留学生が到着した初日から滞在中もずっと、みんなニコニコして、みんなハッピーで、みんな楽しくて、問題など一つもなく何週間も何ヶ月も何年間も過ごす、などというほうがまれだ。考えてみれば、日本の家族と一緒に暮らしていた時でも、誰かがうっとうしそうな顔をしていたし、問題も毎日のように起こっていたし、楽しいことばかりではなかっただろう。まして留学先のホームステイが、夢のような生活の毎日であるはずがない。
だけど、ホームステイファミリーとのいろんな経験を通して、留学生達がそこから考えて学ぶこともとても多い。他人の家だからこそ気を遣うこともあるし、我慢しなければならないこともある。でも、疲れているときには、気を遣っていられないこともあるし、我慢できないことも起こる。
そんな時に、どう考えて、どう行動するのか。周囲の人達にどう接するのか。あまり好きではない人と一緒に過ごす時は、自分はどうすればいいのか。
そんな経験が、これからの留学生達の成長を大きく助けていくのだと思う。
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