プロのホームステイは存在しない
もう20年近く前になるけれど、日本で留学をあつかう旅行代理店さんと話をしていたら、「うちは、ホームステイの詳しい情報リストを作って、留学生に希望するステイ先をその中から選んでもらっているんです」とおっしゃっていた。
たしかに、今から留学に行こうとしている方々にとっては、「ホームステイリスト」を見て、家族構成や場所、家の大きさや設備、それまでの経験や値段などを見て自分で選ぶことができれば、安心なのかもしれない。
でも、そのとき感じた違和感を、今なら言葉で説明することができる。
ホームステイは、あくまでも一般のご家庭に留学生が滞在するシステムだ。留学生がステイする前から、その場所でその家族でそのように生活をしているところに、留学生が後からお世話になる。
ホストファミリーは、自分たちの家族だけの生活の中に、文化も言葉もちがう留学生を受け入れて、一緒に生活をする。
もちろん、留学生は学校を通してホームステイ費用を支払うけれど、ホテルやモーテルと比べると、3分の1から4分の1程度だ。それで、食事や光熱費、インターネットもついているし、場合によっては精神的なケアもしてくれる。
簡単に言えば、ホームステイ費用のほとんどは必要な経費に使われて、ホストファミリーにとっていわゆる「利益」はほとんどでない。
言い換えると、ホームステイを仕事としているような「プロのホームステイ」というのは、存在しない。みんな自分の生活を留学生と共有しながら暮らしている。そのご家族の普段の生活と、ホストファミリーという生活は、切り離されたものではなく、同じものなのだ。
もちろん、経験豊かなホームステイはある。今まで何年も何人も留学生を受け入れて、留学生がいつ、どんなことに困るのか、そのときにどう対処すればいいのか、経験からわかっているファミリーも多い。
でも、だからといって彼らは「プロのホームステイ」ではない。それまでの自分たちの実際の生活の経験から得た知識を使っているだけだ。
ホテルやモーテルを選ぶように一覧のリストから選んだホームステイは、どこか「プロのホームステイ」のように感じてしまうのではないか。そのご家族の普通の生活以外のところに、「ホストファミリーとしての生活」があって、そこに留学生が「お客様」として滞在するという、間違った感覚をなんとなく持ってしまうのではないか。
それがおそらく、20年近く前に感じた違和感の正体だ。
実際のホームステイは、一般の、普通の、我々と何も変わらないお宅に、その生活の中に、留学生がお世話になる、という感覚で一緒に暮らすのがいいのではないか。
もちろん、ほんとうの家族のようになることもたくさんあるし、留学を終えた後もずっとコンタクトしている留学生もいる。
けれど、そこまでの関係になるには、ホストファミリーはもちろんのこと、留学生も、「お客様」ではなく、一人の人間としてそこでその人たちと一緒に暮らす、そんな覚悟も必要だと思う。
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