Brother は兄か弟か
弊社ではいつも、ニュージーランドの学校とは英語で連絡を取り、留学生や保護者の方には日本語で連絡をしている。
だから、学校の担当者との英語での会話や情報を日本語に、留学生や保護者との日本語での会話や情報を英語に訳す必要がある。基本的には、できるだけ正確に、訳す人の主観や思い込みを排除することを心がけている。
英語を日本語に訳していると、やはり英語と日本語の成り立ちの違いを感じることがあるし、その成り立ちの違いは、元々文化や歴史の違いから来ているのだと思うこともある。
例えば先日学校の先生が、「My Brother」という言葉を使っていたけれど、それを日本語に訳す時に、「兄」と訳すのか「弟」と訳すのか、という問題が出てくる。もしMy Brother という言葉がとても大切な意味を持つのであれば、「それって、お兄さん、弟さん?」と質問をすることもできるけれど、話の内容を考えると、兄でも弟でもどっちでもかまわない場合は、いちいち問い返すのもためらわれる。
だから、学校の先生のご兄弟が、などという日本語を使うことになるけれど、意味が通じればそれでいいという場合もあるので、そんな時は兄でも弟でも大きな問題はないと判断する。
つまり、英語でBrother という言葉を使った時には、兄でも弟でもどちらの意味にもなるけれど、日本語の場合は、兄と弟という全く異なる音と表記の言葉がそれぞれにあるので、兄なのか、弟なのかをはっきりさせてから言葉にする必要がある。
言い換えれば、英語では、兄と弟は大きな差がないし、その違いはそれほど重要ではない。もっと言えば、自分より年上の兄弟なのか、年下の兄弟なのかを明確に区別するという文化がなく、それ故に、一言で区別できる言葉が生まれなかったのだろう。一方で、日本語で兄と弟という別々の言葉があるのは、年上なのか年下なのかがとても重要で、一言で区別する必要がある文化ということだろう。
さらに言えば、おそらく英語の文化圏よりも日本語の文化圏の方が、年齢の上下の重要性が大きいのだと思う。
二つの言語を使っていると、その背後にいろんなものが見えてくる。Brother という言葉を日本語に訳していて、そんなことを考えた。
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