長期記憶の英語脳
ニュージーランドで23年ほどビジネスをやってきて、当初はあまりなかった英語力が、今ではもちろん日常生活には困らないし、仕事ができるレベルになったと思う。
ただ先日、陪審員の仕事を5日間やって、やはり自分の英語力はまだまだブラッシュアップが必要だなと感じた。
いろんなところで言われているように、日本語を第一言語としている人が英語を学んでいくときは、まずは、 英語で聞いたり読んだりした文章を頭の中で日本語に直して理解をして、 言いたいことを日本語で考えた後、それをまた英語に直して書いたり話したりするところから始まる。頭の中は基本すべて日本語だ。
そして時間が経つと、いわゆる英語脳という部分ができてきて、英語で見聞きしたことを英語で考えてそのまま英語でアウトプットできるようになってくる。そうなると、英語でのコミュニケーションははるかにスムーズになるし、英文の速読もある程度できるようになってくる。
でもそれだけではまだ十分ではなくて、英語脳を使って英語でコミュニケーションしたことを、「時間が経ってから」英語で思い出して、それを頭の中で英語でまとめたり構成しなおしたりして、それから英語でアウトプットする。このレベルのコミュニケーションが求められるようになる。
例えば私が参加した陪審員の仕事では、月曜日から金曜日の朝から夕方までずっと裁判を傍聴し、すべての情報を使って金曜日の午後に12人の陪審員でディスカッションをした。
その時には、 過去4日半のすべての情報を、頭の中で英語で整理して、そしゃくしながら 英語で議論をし、その中で自分も英語で発言をし、もちろん他の人の英語での発言を聞きながら、意見をみんなでまとめていく。
そのためには、英語を英語で理解してそれに対してその場でアウトプットするという英語脳だけではなく、英語でコミュニケーションをしたことを、時間が経ってから自分の頭の中で英語で思い出して、それを使って英語で考えて、英語でアウトプットする。そんな力が求められる。
つまり、その場でのコミュニケーションだけなら「短期記憶の英語脳」だけで十分対応できるけれど、陪審員のような仕事をするためには「長期記憶の英語脳」 が必要だと思う。
これは、ニュージーランドで大学やポリテクニックの授業を受けて、アセスメントや試験で 良い成績を取るためにも必要な力だと思う。
私も15年ほど前にニュージーランドのポリテクで、ビジネスディプロマの資格を取ったけれど、今から考えると、英語の授業で得た情報を家に帰って自分の頭の中で日本語に変換し、日本語で意味をつかみながら、宿題や試験の時は英語でアウトプットしていたように思う。
中学高校留学生も 留学2年目くらいになると、現地の友達と英語で普通に喋れるようになってくるし、学校の授業も大体分かるようになってくる。
でも、学校の宿題や課題提出、学年末の試験で結果を出すためには、「長期記憶の英語脳」をつくる必要がある。
そのためには、ある程度時間が経ってから、英語で学んだことを英語で自分の頭の中でまとめ 、それを英語でアウトプットする、という訓練が必要だ。
それができるようになると、ニュージーランドを含めて海外の大学やポリテクニックに進学できるレベルの英語力が最低限身についた、と言える。
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