英語の読み書きの力を本当につけたいのなら

長期留学生の場合、英語がほとんどできない状態で留学を始めても、3ヶ月ほどすれば友達が言っていることが何となく聞き取れるようになってくる。

そして最初の一年の留学が終わる頃には、自分から友達に話しかけて会話ができるようになるし、アクション映画なら字幕なしでほとんどストーリーが理解できるくらいにはなる。

もちろん、留学開始時点での英語力にもよるし、個人個人で差はある。また、ずっと日本語で留学生同士で話をしている人と、どっぷり英語漬けになる人では、全然英語力の伸びは変わってくる。でも、ほとんどの高校留学生は、一年目の留学が終わる頃には、少なくとも聞く力はかなりついている。

ただ、長期の高校留学生の場合は、聞く話すの力だけでは、学校の単位を取得していくことは難しい。やはり、読んで書く力が学業の評価の対象になる。

この読み書きの力をつけるのが、大変だ。読む力、書く力をつけるためには、単に授業に出席して先生の言うことを聞いているだけではなく、また、英語漬けの生活で友達や先生と話をするだけでもなく、机に向かって英文を読み、自分でペンを持ってノートに英文を書くという作業が必要だ。

最初は留学生は、英和や和英辞書を使って、英文を日本語に訳して理解し、日本語で文章を考えて、その後それを英文に訳す、という作業をする。でも、英語→日本語→英語、という翻訳作業を通していては、なかなか英文を書く力はついてこない。

英語で文章を書く時に、日本語をそのまま訳すと、どうしても「日本語の感覚」が文章の中に出てしまう。そしてネイティブの英語の先生がその英文を読んだときに、どうも「よく理解できない部分がある」と言われる。

英文には英文の書き方がある。もっと基本的なことを言えば、英語には英語の考え方がある。例えば、日本よりもニュージーランドの人のほうが、YesやNoをはっきりと言う文化があるとか、最初に自分の考えや結論を言ってその後理由を述べるとか、自分の意見をできるだけ明確に伝えようとするとかだ。それは、日本語と英語の文法や構文以前のもっと基本的な違いだ。だから、日本語で考えた文章をそのまま英語に訳しても、英語のネイティブの人達には、「よくわからない」と言われるのは、日本語のバックグラウンドのまま、形だけ英語になっているからだ。

だから、3年から5年程度の長期の高校留学をする人は、最初は日本語を英語に訳するところから始めてもいいけれど、2年目、3年目になってくると、英語で英語を考えて、それを英語の文化に則った形で表現するスキルが必要だ。

その力をつけるためには、単に「英語」を勉強するだけではなく、そのバックグラウンドにある文化の理解が不可欠だ。「英語」を勉強することは当然のことだけれど、現地の人達との交流、うまくいかない経験、理解されない理解できないプレッシャー、そういった肌で感じる経験を通して、英語を英語として表現できるようになっていくのだと思う。

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