言い方で事実も変わる?

ある事実を誰かが伝える時、その言い方によって印象がずいぶん違う。

Aさんがニュージーランドに留学するということを、友達のBさんがCさんに伝える時、

「Aさん、ずっと前から準備してこつこつお金を貯めていたけれど、とうとうニュージーランド留学に来月から行くんだって!」

と言うのと、

「Aさんったら、長い間けちけち貯めていたお金を使って、来月からニュージーランド留学なんかに行くんだってぇ。」

と言うのとでは、聞く人が受ける印象はかなり違う。

ある事実を伝える時に、どんな言葉を選ぶのか、どんな口調で伝えるのか、どんな意味を含めて言うのか、によって、一つの事実が、ポジティブなものにもなるしネガティブなものにもなる。

最初の言い方だと、Aさんの行動や判断に対する評価も高いし、ニュージーランド留学自体のイメージもとてもいい印象だ。

二つ目の言い方だと逆に、Aさんの行動や判断に対する評価は低いし、ニュージーランドに留学に行くこと自体、あまりいい印象ではなくなる。

人間誰でも、客観的な事実よりも感情に引っ張られることが多いから、人からポジティブな印象で何かを言われるとポジティブな感情になるし、ネガティブな印象はネガティブな感情を呼ぶ。

最初の言い方だと、Aさんを応援したくなるしうらやましくもなる。二つ目の言い方だと、Aさんってかわいそうな人だなぁと思うしニュージーランド留学など価値がないようにも思う。

極端に言えば、例えばただ人が歩いていることを表現する時に、「あの人、右足を前に出した後、次になんと左足を前に出して前に歩くんだって!信じられない!?」などと言えば、普通に歩くことも何か間違ったことをしているように感じてしまう。印象に引っ張られやすい人などは、次に自分で歩くとき、右足の次にまた右足を前に出そうとしてしまうかもしれない。

ある事実を誰かが伝えている時、その言葉から受ける印象だけに引っ張られると、客観的な事実が見えなくなる。その言葉が持つ強い印象に感情が刺激されて、ほんとうのことが隠れてしまう。

誰かが何かの事実を伝えている時には、どんな言葉が使われ、どんな口調で伝えられ、どんな意味が含まれているのか。そんなことにも目を向けて、全体の印象に感情が引っ張られないようにすることも大切だろう。

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