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ニュージーランドは誰もがご存知のように、ラグビー王国だ。

2011年のラグビーワールドカップ自国開催で優勝し、また2015年のイングランド大会でも優勝。2度連続ワールドカップ優勝はニュージーランドが初めてだ。

人口わずか450万人の国で、なぜこれほどラグビーが強くあり続けるのか。もちろん、日本人選手と体格も違うしコーチング方法も異なるけれど、子どもの時から将来のオールブラックスを育成するシステムがきっちりと整っていることも、大きな要因だろう。

例えば、ロトルアやタウランガを中心としたベイオブプレンティ地域の「Player Development Pathway」が、ベイオブプレンティラグビーユニオンのウエブサイトに掲載されている。

Player Development Pathway

これを一目見れば明らかだけれど、一番下のJunior Club から国の代表チームであるAll Blacks までのPathway がきちんと整備されている。これはベイオブプレンティユニオンが作成したものだけれど、どの地域のラグビーユニオンも、同様のPathway システムをきちんと整備している。

上記のウエブページ(PDFファイル)を詳しく見ていくと、まず13歳以下の子ども達は一番下の「Junior Club 」に入る。Junior Club は大人の「Club」の中に必ず設置されていて、下はU5(5歳以下)からU13(13歳以下)まで年齢別のチームが編成される。この年齢ではまだ男女混合チームだ。また、U9の年齢以下は安全を考慮してタックルなしのRippa Rugby が行われる。

そして、Junior Club でも年齢が上がると、Roller Mills U13などの地域代表チームに選手達が選抜され、他地域の代表チームと大会が行われる。

13歳以上になると高校に入るので、18歳までは基本的には高校別のチームに所属して試合に出場する。この年齢からは男女別のチームだ。高校では、15歳以下(場合によっては16歳以下)は、U14、U15、(U16)など年齢別のチーム編成がされるが、強豪高校になると、U14 などでも複数チームに分かれる。そして、U14、U15 ともに、ベイオブプレンティ地域を3つに分けたそれぞれの代表チームが作られ、他地域の代表チームと試合を行う。

高校生でもU16、U18になると、今度はベイオブプレンティ全体の代表チームを作り、オークランドやワイカトなどの代表チームと試合する機会を持つことになる。

また、U17、U18 では、ニュージーランド全国を5つの地域に分けた一つ、チーフス地域の代表チームも編成され、ブルース地域やハリケーンズ地域の代表チームと戦う。このチーフス高校代表に選ばれるまでになると、将来のオールブラックス入りも見えてくる。

さらに、高校生の年齢では、ニュージーランドの高校代表チームである、New Zealand Secondary Schools やNew Zealand Schools Barbarians のチームも編成され、オーストラリアやフィジーといった海外高校代表チームと対戦する。現在のオールブラックスの選手の中には、これらのニュージーランド高校代表チームでプレーをしていた選手も多数含まれている。

高校を卒業すれば、またClub(クラブチーム)でプレーをする。基本的には子どもの頃に所属していたチームに戻る人が多いけれど、仕事や学校の関係で住む場所を変えた人は、またその地域のクラブチームに新たに入ることになる。

高校時代にニュージーランド代表に選ばれたような選手の中には、すぐにプロ契約をして、ITM Cup/BOP Steamers の選手としてプレーをする人もいるけれど、ごくわずかだ。多くの選手はクラブチームでプレーをしながら、Steamers に入ることを目指す。中には、BOP Academy でトレーニングを積んだり、Steamers の2軍に当たる BOP Development チームに選ばれたりする選手もいて、そこまで来ればSteamers にも後一歩だ。

一度ITM Cup レベルのプロ選手としてプレーをすれば、その上のSuper Rugby のチームに選ばれる可能性もある。また、オールブラックスの多くの選手は、Super Rugby のどこかのチームでプレーをしている人達だ。

こうやって、下は5歳から将来のオールブラックスを育成するシステムが整っている。

ちなみに、Junior Club に登録した時点で選手番号が与えられるのだけれど、ニュージーランドでプレーをしている間は、原則として選手番号は変わらず、各選手のプレー歴は、各地域のラグビーユニオンや、ニュージーランドラグビーユニオンにデータとして蓄えられて行く。そうして、いい選手はどの地域にいてもすぐに発掘できるようになっている。もちろん、日本からのジュニアや高校ラグビー留学生にも、選手登録した時点でニュージーランドの選手番号が与えられる。

やはり、個人個人の資質やコーチングに加えて、地域や国をあげてのシステムが整っていることが、ラグビー王国を王国たらしめているのだと思う。