NCEAと高校卒業資格

高校留学に関するご質問をたくさん頂くけれど、その中でも比較的多く頂くご質問に、留学中の単位取得と資格取得に関するものがある。

日本の高校とニュージーランドの高校とでは、単位や資格の取得、そして卒業の概念がかなり違う。

それらを一言でご説明するのは難しいけれど、例えば、日本の高校2年生の2学期まで修学して単位を取得した生徒が、そこで高校を退学すれば、学歴としては中学卒業となるのが日本だ。日本の高校で取得した単位や、高校2年生の2学期まで修学した内容を履歴書に書くこともできないし、大学や専門学校の進学、就職などで考慮されることはほとんどないと思う。

でも実際には、日本の中学校を卒業した時点でもう高校には行かないと決めた人と、日本の高校2年生まで修学して単位を取得した人と比べると、そこには違いがある。にもかかわらず日本では、高校に入学しない人は高校で習うことを身に付けていないと評価されるのは一般的に言って仕方がないだろうけれど、高校2年生まで修学している人でさえ、そこまでの取得単位や学んだことを書類の上では評価されない。

どちらがいいか悪いかという問題ではなく、高校に入学していない人と、高校2年生の2学期まで修学した人とでは、明らかに違いがあって、その違いは社会の中で評価されてしかるべきだ、と考えるのがニュージーランドだ。

ニュージーランドの高校の多くは5年制で、おおよそ日本の中学2年生から高校3年生にあたる年齢の生徒達が在籍している。そして高校1年生にあたるYear 11から3年間は、NCEAという国の資格を取得するために単位を取っていく。

簡単に言うと、Year 11でNCEAのLevel 1 の単位を合計80単位以上取れば、NCEAのLevel 1 という国の資格を取得できる。

Year 12でLevel 2、Year 13でLevel 3 を取得するのが最も一般的だけれど、Year 11でLevel 1 の全ての単位を取得できなかった人は、Year 12でLevel 1とLevel 2 の科目を履修して、Level 1 とLevel 2 両方の80単位取得を学年末に目指すこともできる。また、留学生などでYear 11でLevel 1 の単位をあまり取得できなかった人は、Year 12でLevel 1 を、Year 13でLevel 2 を取得して高校を終えることもできる。

大雑把に言えば、ニュージーランドの高校のYear 11以上は、NCEAのLevel 1からLevel 3までの国の資格を取得するために高校の勉強をしている、と言ってもいい。だから例えば、Year 13でLevel 3までを取得した人は、高校修了時にNCEAのLevel 3 の資格を取得したと社会的に評価され、それは、ニュージーランドの大学や専門学校などに入学する時はもちろん、仕事をする時にも考慮される。

例えば、Year 13まで在籍してLevel 2 まで取得した人はNCEAのLevel 2 という国の資格を持っていると履歴書にも書けるし社会でもそう評価される。もっと言えば、Year 12まで高校に在籍してLevel 1まで取得して高校を辞めた人は、NCEAのLevel 1 の資格を持っているという評価になる。日本のように一律「高校中退」という評価ではない。

このNCEAの制度の上で、Year 13まで修学をした人は、たとえLevel 2 までしか取得していなくてもいわゆる高校を卒業したと見なされることが多いけれど、ニュージーランドでの評価としては、どちらかと言えばNCEAのLevel 2 の資格を持っているというほうが意味が大きい。

ニュージーランドの高校をYear 13まで終えて日本の大学に出願をする場合、いろんな出願資格が大学や学部によって定められているけれど、Year 13まで修学すればニュージーランドの高校を卒業したと見なされる大学、学部も多い。また、ある大学や学部では、NCEAのLevel 3 まで取得したことを出願資格に入れているところもあるし、ニュージーランドの大学進学に必要な単位(University Entrance=UE)の単位取得を求める大学や学部もある。

弊社では、ニュージーランドの高校を卒業する全ての長期高校留学生には、最低でもNCEAのLevel 3 までの単位取得を強く勧めているし、できればUEの単位取得も勧めている。卒業後の進路の選択肢が大きく増えることになるからだ。

今から長期の高校留学に来る人、また現在長期の高校留学をしている人は、卒業後の自分の進路希望をよく考えた上で、遅くてもYear 11から、どの単位をどれだけ取得するのかをしっかりと考えて行く必要がある。

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