価値観の押しつけではないのか

高校留学生達と卒業後の進路の話をしていると、私たちも、いろんなことを考えさせられる。

ニュージーランドで高校を卒業後、そのままニュージーランドの大学やポリテクに進学を希望している学生、日本の国公立大学を受験するという学生、将来は日本で国家公務員になりたいという夢を持っている学生、日本に帰って専門学校でスキルを身につけようと考えている学生、また、ラグビー高校留学生の中には日本代表を目指している学生もいるし、ニュージーランドでプロ選手になりたいという学生もいる。それぞれの留学生が、それぞれの夢を持って、高校留学後の進路に向かって留学生活を送っている。

私たちも、いろんな情報を集めて、留学生と話をして、できるだけのサジェスチョンをするのだけれど、どうしても、そこに自分たちの価値観が入る。例えば、日本の専門学校を目指している学生に対して、同じ勉強ができるのであれば大学の方がいいのではないかと言ったり、ラグビーで食べていこうと言う学生には、引退後の人生もよく考えるように、とアドバイスしたりする。

私たちからすれば当然のアドバイスなのだけれど、よく考えてみると、私たちの中にどこかで、専門学校よりも大学のほうがいいという価値観、スポーツ選手で一生食べていくことに対する無理解があるのではないかとも感じる。

私もニュージーランドで暮らして18年。いろんな価値観に触れ、大学に行けばその後の人生は安泰だとか、高い資格を持っていなければ高収入を得られない、などという考え方はしない。でも、どこかで、高校卒業後は大学で高い資格を取るのがいいだろう、という価値観を優先させていると感じることがある。

本当は、スキルがあればラグビーで一生食べていくこともできるのかもしれないし、日本の専門学校で手に職をつけた方が、大学を出るよりも高収入が得られる場合も多いだろう。また、高い資格を持っていなくても、世界で活躍している人たちもたくさんいる。そんな事実があることはわかっているのだけれど、高校生にアドバイスをするときには、自分の価値観が入り込む。

高校生とは世代も違うし、生きている時代も違う。私たちの価値観がそのまま彼らに通用するとは限らない。ましてや、長期で留学を経験している高校生は、その可能性は無限に広がっている。そんな彼らに、私たちの価値観を押しつけることはできるだけしないようにしたい。そして、彼らの話をよく聞いて、彼らから学ぶべきことは学んで、私たち自身の固定化した価値観を常に見直す作業も、し続けていかなければならないだろう。

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