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子どもの頃は、自分の家族や家の中の生活が世界標準であるかのように思っていた。どこに住んでいる人もみんな、自分の家族と同じような生活をしていることを信じて疑わなかった。そして当時は自分と一緒に遊んでいる友達の家に行っても、たいがい似たような感じだった。

ある日、都会からの転校生がやってきた。彼は普段学校に来るときもちょっといい服を着て、髪をふわっと横にわけたりして、私のようなはなたれ小僧とはかなり違う雰囲気を漂わせていた。彼は勉強もできて、野球やサッカーをやらせてもうまくて、女の子にも人気があって、それでいて男の友達も多くて、「世の中にはこんな奴もいるんだ」と思った。

しばらくして彼と仲良くなって、友達3人で初めて彼の家に行った。玄関を入ると彼のお母さんが「いらっしゃい」と出迎えて、スリッパを出してくれた。友達の家でスリッパが出てきたのも、お母さんがわざわざ出迎えてくれたのも初めてだった。それまでは、友達のうちに行っても、裏口や部屋の窓から家の中に入ったりしていたので、お母さんに出迎えられることも、ましてやスリッパを履くこともなかった。

応接セットが置いてある部屋に通されて、慣れないスリッパの中で足をもぞもぞさせていると、きれいなカップに入った紅茶を出してくれた。その上、紅茶には薄く切ったレモンと角砂糖がついていた。友達のうちで角砂糖のついた紅茶なんて出てきたことがなかったので、とても緊張した。普段友達と一緒に家で食べるのは、よくて饅頭と麦茶、たいていは水道の蛇口からコップに自分で水をくんで飲んでいた私としては、まさに別世界に来たようだった。

転校生は別世界から来た存在だった。彼の服装や髪型、角砂糖のついた紅茶などから、世界は自分の住んでいる家と生活だけではないことを思い知った。そしてその経験を通して少し大人になったようにも思う。

ニュージーランドに移住してきたときも、そこには別世界があった。髪を横わけにした少年はいなかったし、スリッパが出てくる家もなかったけれど、ちょっとした家の修理は全て自分でやってしまうおじさんがいて、本物の大きな木をクリスマスツリーにしてきれいに飾りつけた家があった。そしてまた、世界は自分の住んでいる家と生活だけではないことを思い知って、少し大人になった。

世の中にはこんな生活をしている人がいるんだ、自分が毎日暮らしている世界が標準というわけではないんだ、という経験は、人を成長させるのだと思う。