NZは蟻の動きが速い

ニュージーランドは11月中旬頃から昼間は晴れると気温も上がり、半袖短パンで歩いている人も多くなっている。

暖かくなってくると、ニュージーランドでも啓蟄というのだろうか、人口よりも羊の数が多いこの国でいろんな生き物を目にするようになる。

先日高校留学生の親御さんがうちにいらっしゃった時、ベランダをじっと見つめて「ニュージーランドの蟻は歩くのが速い!」とおっしゃった。「日本の蟻はもっと動きが遅いですよ」とのことだ。

私はもうニュージーランドで20年以上暮らしているので、日本とニュージーランドの蟻の速さの違いには全く気付かなくなっているけれど、日本から来たばかりの方は、「おぉ!蟻が速い!」と感じたのだろう。

そう考えてみると、ニュージーランドでの生活が長くなればなるほど、ニュージーランドのいろんなことに慣れてしまって、日本との違いに気付きにくくなっているし、その違いに感動するなどということも少なくなっているように思う。

それをもう少し進めて考えてみると、10年以上前の留学生達は、留学に来る前にネットでいろんな情報を集めてくることができなかったので、ニュージーランドに来てから小さなことにでも感動したり、違いに驚いたりしていたように思う。

「えっ!シャワーのお湯はタンクに貯めているのですか!」とか「雨の日でも傘をささないんですね!」とか「日曜日の夕方に街に行ったら店がみんな閉まっていたんです!」とか、ほとんど全ての留学生が同じようなことで驚き、感動し、日本との違いに戸惑っていた。

でもここ数年は、中学生の年齢でも留学に来る前にネットでいろんな情報を集めてくるし、SNSなどで留学経験者の様々な知識を頭に入れてくる。だから、実際に留学に来てから、以前の留学生達のように驚いたり、感動したり、違いに戸惑うことが少なくなっているように思う。

どちらがいいかわからないけれど、もし留学生活に感動や驚きや日本との違いに気付くことを求めるのであれば、必要以上にネットで事前にいろんな情報を集めてこなくてもいいかもしれない。最低限安全と健康に関する情報は知ってくるべきだろうけれど、生活の細かい部分は留学生活の中でその都度出会っていく、というのも一つの方法だろう。

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