お・も・て・な・し
2020年には、東京でオリンピックが開催される。また、このブログでも何度もご紹介したけれど、前年の2019年には、日本各地でラグビーのワールドカップが開催される。
だから、2019年と2020年には、世界各地からいろんな国籍、いろんな人種、いろんな文化を持った人たちが、日本各地を訪れる。もっと言えば、今このブログをご覧になっている方の町にも、いつも行く駅やショッピングセンターにも、たくさんの海外からの訪問者が訪れる。ラグビーワールドカップで言えば、ニュージーランドや南アフリカ、オーストラリアはもちろんのこと、イングランド、ウエールズ、フランス、イタリア、カナダ、トンガ、フィジー、アルゼンチン、ナミビアなどから来た人々が、日本各地を訪問する。
日本からニュージーランドに留学に来た人たちが、日本での常識がニュージーランドで通じないことを痛感するように、2019年と2020年には、世界各地から来た人たちが、それぞれが持っている常識と日本の常識との違いに、ショックを受けたり戸惑ったりするだろう。
たとえば、ニュージーランドでずっと暮らしている人が日本を初めて訪れたら、きっとこんなことに戸惑ったり、こんな行動をとったりするだろうと思う。
1.クレジットカードはどこでも使えると思っている
ニュージーランドはキャッシュレス社会だ。ほとんどの店でクレジットカードやEFTOPSと呼ばれるキャッシュカードが使える。カフェで4ドルのコーヒーを飲むときでもクレジットカードを気軽に使う社会だ。だから、カフェやショップでクレジットカードが使えない、など予想もしていない。クレジットカードで支払いをしようとして使えずに、現金も持っていない、という場面も多々あるだろう。
2.目が会えばほほえむ
ニュージーランドでは、見知らぬ人でも目が会えばにっこりとほほえむ人が多い。そして、全く知らない人にも気軽に話しかける。ニュージーランドから来た人とエレベーターで二人っきりになったら、彼らは必ず話しかけてくるだろう。今日はいい天気だね、どこまで行くの、日本のラグビーは強くなったね、など、にこにこしながら話しかけてくる。だから、目があった時に目をそらされると、どうしていいかわからないニュージーランドの人もいると思う。
3.じっと並んで待つ
ニュージーランドの人たちは、順番をじっと待つ。スーパーマーケットのレジで前の人がレジの人と世間話をしていても、のんびりと後ろで待っている。何年か前スーパーマーケットでいきなり30分くらい停電してレジが使えなくなったときでも、どのレジに並んでいる人も、「仕方がない」とあきらめ顔でずっと並んで待っていた。もちろん、後ろに並んでいる人とにこにこしながら話をしていた。だから日本でも、おそらくどこでもじっと並んで待っていると思う。
4.裸足で歩く
私が住んでいるロトルアでは、裸足で歩いている人がとても多い、というと、日本の方はみんな「冗談でしょう」とおっしゃる。でも実際にロトルアにいらした方は、「ほんどうだったのですね!」と驚く。子どもはもちろん、女子高校生も大人も、町の中でもショッピングモールでも、裸足で歩く人がいる。だから、日本でも、特に子どもは裸足で歩くだろう。裸足で歩道を歩き、裸足でコンビニに入り、裸足でマクドナルドで注文をするだろう。
5.傘を差さない
ニュージーランドの人は、ちょっとくらいの雨なら傘を差さない。そして大雨でも傘を差さない人もいる。もっと言えば、雨の天気予報の時でも傘を持ってでない人もいるし、雨の日でも傘を売っているところは非常に少ない。だから、日本の人なら誰もが傘を差す天気でも、平気で傘を差さずに歩くだろう。そして子どもは雨でも裸足だ。
6.タクシーの助手席に座る
ニュージーランドでは、一人でタクシーに乗るときには、助手席に座る人も多い。そしてタクシーの運転手とずっと話ながら目的地まで向かう。だから日本でタクシーに乗るときにも、おそらく気軽に助手席に乗り込もうとするだろうし、自動で後ろのドアが開くときっと驚くに違いない。
7.バリアフリーだと思いこんでいる
ニュージーランドはほとんどの町がバリアフリーになっている。車いすの人も、ベビーカーを押している人も、スーツケースをころがしている人も、どこでもスムーズに移動できるとおそらく頭から思いこんでいるだろう。だから、駅のホームの長い階段を目の前にしたら途方にくれるだろうし、歩道と車道の間の段差につまづくこともあるだろう。
8.じっくり選んで買う
数百円のお土産でも、店員さんにいろいろと質問をして、じっくりと選んで買うニュージーランドの人も多い。ニュージーランドには無い商品に興味を持っているということもあるだろうが、店員さんとのそういったやりとりを楽しみながら買い物をする、という人もいるだろう。だから、日本でも、一つのものを買うまでに、たくさんの質問をして、やっと小さな品物を買う、ということもあるだろう。
9.携帯電話のsim ロックはフリーだと思っている
ニュージーランドのほとんどの携帯電話のsim はロックがかかっていない。だから、本体を買い換えると自分でsim カードを入れ替えて、同じ携帯電話番号でそのまま使い続ける。だから、日本でsim フリー携帯がほとんど売っていないことにおそらく戸惑うだろう。また、プリペイドの携帯電話も一般的なので、プリペイドのレンタル携帯電話も簡単に手に入ると思っているニュージーランドの人たちも多いに違いない。
10.雑踏を縫うように歩けない
ニュージーランド最大の都市オークランドでも、150万人程度の人口だ。町の中心のクイーンストリートの歩道も幅が広く、雑踏を縫うように歩くことはまれだ。だから、東京や大阪の地下街などで前からや横から来る人にぶつからないようにうまく歩くことに慣れていない。日本の大きな都市では、きっと戸惑いながらぶつかりながら歩くことになるのだろう。
まだまだたくさんあるだろうけれど、日本でずっと暮らしている人たちでは気づかないようなことも、海外から来た人たちにはとても新鮮で、そして戸惑うことが多い。また、短期での訪問者は、自分が持っている文化や考えをそのままもって日本にやってくる。
2019年と2020年には、そんな人たちが日本各地をうろうろするのだ、ということを理解して、「おもてなし」をする必要があるだろう。
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