「なんで?」は「嫌だ」
親が子どもに、「○○をしなさい」と言うと、子どもはたいてい「なんで?」と答える。
私の8歳の娘も、「漢字の勉強をしなさい」と言うと、「なんで?」と言う。そこで私が、「漢字の読み書きができると将来役に立つから」とか「日本語を勉強することが必要だから」とか言っても、娘は「そうか!わかった!なるほど!今から一所懸命勉強するよ!」とは、決して言わない。
それどころか、「将来漢字なんて使わない」とか「私には必要ない」など、その場限りのいいわけをして、何とか勉強せずに済まそうとする。それに対して親が、将来どのように漢字を使うのか、どうして必要なのか、などを語り出すと、話はどんどんそれていく。
もともと子どもが、親が言ったことに対して「なんで?」と聞くときは、理由を尋ねているのではなく、単に「嫌だ」と言っているに過ぎない。「漢字の勉強をしなさい」「なんで?」は、「漢字の勉強などしたくない」という意味だし、「LINEばかりしていてはいけません」「なんで?」は、「LINEをやめるのは嫌です」という意味だし、「今のうちに将来のことをしっかりと考えなさい」「なんで?」は、「今は将来のことなど考えたくない」という意味だ。
だから親としては、子どもの「なんで?」に対してその理由を説明してはいけない。何故勉強しなければならないのか、何故LINEばかりしていてはいけないのか、何故今将来のことをしっかりと考えなければならないのか、その理由は、親や周囲の大人ではなく、子ども本人が考えるべきことだ。
子どもの「なんで?」に対して親や周囲の大人ができることは、大人自身の意見や経験を子どもに伝えること、子どもに考えるヒントを与えること、または、子どもと一緒に考えること、くらいだろう。そもそも子どもは「なんで?」に答えなど求めていない。
そうであれば、「なんでかを知りたいのなら、それを一緒に考えよう」と、子どもの「なんで?」を、一緒に考えるきっかけにしてもいいかもしれない。
親が子どもに「○○しなさい」という、その理由は、子ども自身が考えることで、周囲の大人が「これですよ」と答えを与えるものではないのだ。
キックオフNZのSNS