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もうだいぶ前の話だけれど、当時の高校留学生の中に、とてもしっかりとした学生がいた。15歳の頃から、自分の考えをしっかりと持って、大人ともきちんと話ができ、礼儀正しく、下の子の面倒もよく見ていた。

その留学生がYear 13 のときに、ご両親が日本からいらっしゃって、ゆっくりと話をする機会があったので、「どうすれば、お子さんのような人間に育つのでしょうか」というようなことを、失礼を承知で聞いてみた。その留学生のお母さんは「できるだけ手をださないことです」と即答された。「見ていて手を出さないのは、手を出すことよりもはるかに難しいことだけれど、私は手を出さないようにしてきました。」とおっしゃった。

その留学生は日本の中学を卒業してすぐに留学に来たので、すでに中学生の時には親御さんはできるだけ手を出さなかったということになる。ひょっとしたら、小学生のときからそういう方針で育てていらっしゃったのかもしれない。

子どもがやることを見ていると、親としてはどうしても、「これはやめなさい」「これをしなさい」「それは危ないです」などと言って、先回りしてコントロールしてしまう。特に危険なことや、他人に迷惑をかけそうなことをしようとしている時には、やるまえにストップをかけてしまう。でも、こどもがやることに親が「できるだけ手を出さない」ということは、危険なこと、迷惑なこともそのままやらせる、ということなのだと思う。もちろん危険や迷惑の限度にもよるだろうが、「できるだけ」手を出さないという基準は、多少のことでは手を出さないということだろう。

つまり、多少危険なことも、多少他人に迷惑をかけることも、親が事前に排除せずに、子どもに経験をさせて、失敗させて、そこから何かを学ばせる、ということなのだと思う。

私も7歳の娘がいるけれど、これは親にとってはかなり難しい。子どもに手を出さずに見守るということはイコール、実際には、家の中がぐちゃぐちゃになるということだし、いろんなものが壊れ、いろんな人に迷惑がかかり、親の時間とエネルギーが取られ、後始末に追われる、ということだし、そこには親の我慢と精神力が要求される。そんなことなら、子どもが何かをしようとする前にちょっと注意を与えて、そういった混乱を避けるほうが、親としてはよっぽど簡単だ。

でも、それは「親としては」簡単だ、ということであって、それが子どもの成長にプラスになるかどうかは、また別の問題だ。実際に、「できるだけ子どもには手をださない」という育て方をされたお子さんは、15歳ですでにしっかりしていた。親御さんはものすごい時間とエネルギーを使われたのだと思うが、それはその留学生にとっては、非常によかったのだと思う。

ただ、親ができるだけ子どもに手をださなければ、全ての子どもがその留学生のように育つかと言えば、そうでもないだろう。私の娘などは、いくら私が手を出さずに見守っていても、普段の私の姿を見ているので、それだけでぐうたらな人間に育つことは間違いない。

ただ、子どもが自分から何かをやろうとしているときに、親の都合だけでそれを止めることは、子どもの経験の機会を奪っていると言えるだろう。親も多少の我慢と精神力が必要なのかもしれない。