夢のその先
弊社の長期の高校留学生達には、ゴールセッティングを考えてもらっている。
まず、10年後など、彼ら彼女らにとってかなり遠い未来、どこで何をしていたいのか、夢でも希望でもいいので考えてもらう。その後、時間を今に向かってさかのぼるようにして、高校留学後の進路、高校留学を終えた時点でのゴール、今年のゴール、今学期のゴールを考えてもらって、最終的には、今日やるべきことは何かを考えてもらうようにしている。
遠い未来の彼らの夢や希望はいろいろあるけれど、多くは「○○という職業についていたい」とか「海外で△△関係の仕事をしていたい」というものだ。そして、留学生達は、留学生活の中で、毎日毎日勉強をしたり、スポーツをしたり、芸術活動をしたりしながら、自分の夢や希望に近づいていく。
では、将来、その夢や希望の職業についたり、その仕事をすることになれば、それでゴールに到達したといえるのか、と考えると、実はその先があるように思う。
例えば、プロのラグビー選手になるという夢をもっている高校留学生がいたとする。その夢に向かって彼は留学中、毎日毎日トレーニングをしたり、勉強をしたり、友達を作ったりする。でも、うまくいかないことも必ずある。そんな時ふと、「ラグビーのプロ選手になるという夢」自体について、いろいろと深く考える。「僕はラグビーのプロ選手になる夢を持ってやってきたけれど、ラグビーのプロ選手になって、そこで何がしたいのだろう」と、一歩踏み込んで考えると思う。そして、自分の時間やエネルギーをこれほどまでにつぎ込む価値がその夢にあるのだろうか、と、その夢の価値も考えるだろう。
つまり、夢に向かって進んでいくときに、うまくいかなかったり、予定通りに進まなかったりして、そこで初めて自分の夢について、深く、具体的に、言い換えると、「夢のその先」を考える。夢だった職業に就くとする。「で?」何をするのか。何のためにそれをするのか。どんな意味、どんな価値があるのか。
彼ら彼女らが将来の夢としているほとんどの職業、仕事は、人の為にするものだ。例えば、プロのラグビー選手は、自分のプレーを通して人に感動を与え、人に夢を与え、人にやる気を与える。そのためにプロとしてラグビーをプレーする。また、例えばパイロットになる夢があるのなら、パイロットになって、お客さんを安全に飛行機で目的地まで運ぶ。そのためにパイロットの仕事をする。また、アーティストになる夢があるのなら、自分の作品を通して、人に感動を与え、癒しを与え、エネルギーを持たせる。そのためにアーティストという仕事をやる。
つまり、毎日毎日の留学生活で、勉強したり、スポーツをしたり、芸術活動をしたりする、その最終的なゴールは、自分の夢の実現を通して、人に何かいい意味での影響を与えるためなのだ。言い換えれば、今、何故、勉強したり、スポーツをしたり、芸術活動をしたりするのか、と言えば、それは、単に自分の夢を叶えるためだけではなく、いろんな方法で人を幸せな気持ちにする為だ。そのために自分の力、能力、スキルを身につけるのだ。
私は、夢や希望を持つことも大切だけれど、本当はこの「夢のその先」が大切なのだと思う。「何故今勉強しているの?」「希望の職業に就くためです」、「何故今ラグビーのトレーニングをしているの?」「プロの選手になるためです」、「何故今アートの作品を作っているの?」「芸術家になるためです」。それでもいいけれど、それなら全てが単に「自分の夢の実現のため」だけだ。そうではなくて、今日のその勉強、そのトレーニング、その創作活動で身につけたスキルや能力を使って、自分の夢を実現して、そして、人のために何かをする、大きく言えば、世界の人々に影響を与え、世界の人々を幸せな気持ちにする、そのために、今の勉強、トレーニング、創作活動があるのだと思う。
そんな「夢のその先」を、留学生達も、たまには考えてもいいのではないかと思う。
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