水道代の節約ではなく
新しく留学する学生から、「ニュージーランドの滞在先では、洗濯は毎日できるのでしょうか」という質問をいただくことがある。
洗濯の回数はホームステイの場合は滞在するお宅によって大きく異なる。毎日のように洗濯機を回す家庭もあれば、週に3回と決めている、というお宅もある。また回数の少ない家庭でも、留学生が自分で洗濯するのはいいよ、とおっしゃるところもあれば、洗濯はこちらでするので必ず指定した籠に入れてください、という家庭もある。
日本で暮らしている方からすると、「留学生がいる家庭なら、毎日洗濯をするべきだ」とお考えになる方もいらっしゃるだろう。でもニュージーランドの人の考えは少し違う。洗濯をしないのは、面倒くさいからとか、家事が嫌だからとか、忙しいからそんな理由だけではなくて、例えば、水を節約するために洗濯はできるだけ最低限の回数にしている、という家庭もある。
ロトルアでは、各家庭の水道代は年間一定で、各戸にメーターがついているわけではない。だから、いくら水を使っても払う水道代は全く変わらないのだが、それでも「節水のために洗濯はできるだけ少なくしている」という家庭がある。それはつまり、「水道代を多く払うのが嫌だから」という理由ではなくて、「自分の家庭のためではなくニュージーランド全体の、あるいは地球全体での水の使用を少なくするために」という理由で、水を節約しようとしているということだ。
「洗濯が毎日できない家庭ではホームステイはできないので、変えてほしい」とおっしゃる留学生もいるかもしれない。でも少し待ってほしい。
日本でそんな家族と暮らす機会はおそらくほとんど無いだろう。水道代というお金ではなく、本当に地球の水資源の節約を考えて暮らしている家庭で暮らす、というのも貴重な留学の経験だ。そしてそんな家庭では、洗濯の回数だけではなく、その他にもいろんな部分で日本の人々とは違う生活をしているだろう。生活にかかる費用を基準に考えるのではなく、もっと異なる視点で物事を考えながら暮らしているだろうし、お金よりももっとよく考えなければならないことがある、という生活方針があるかもしれない。
だからせっかく留学をするのなら、そんな全く違った視点でものを考えながら生きている人々と一緒に生活をしてみるのも、とてもいい経験だと思う。
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