なぜ高校留学のオンライン授業はほとんどなかったのか?
ニュージーランドで2020年3月からずっと続いてきた入国制限は現在ほぼ撤廃され、日本からでも学生ビザを申請・取得して入国できるようになったし、3か月間以内の短期留学もできるようになっている。
入国制限が続いていたとき、多くの大学や語学学校では、留学生を対象としたオンライン授業を開講していた。
現地にいる学生が受ける授業をオンラインでライブ配信し、そこに日本など海外からの「留学生」も参加して全く同じ内容の授業を受けることもできたし、海外の「留学生」だけを対象としたオンライン授業を開講していた学校もあった。
弊社の留学生の中にも、日本から大学や語学学校の授業をオンラインで受講していた人も複数いたし、現在も日本から受講を続けている人もいる。
でも、中学高校留学に関しては、海外からのオンライン受講ができた学校はほとんどなかった。
なぜだろうか?
もちろん、お金や時間や人をそこに割くことが難しかったというのも一つの理由だろう。でも、そこに投資をした分の需要やリターンがあるのなら、中学高校でもオンライン授業を開講した学校ももっと多かったに違いない。現に、ロックダウン中は、現地生徒を対象に、オンラインで授業を続けていた中学高校も多かった。
それは、中学高校のオンライン海外配信は、需要がなかったということだろう。
大学や語学学校の授業を海外から「留学生」が受講するのと、中学高校の授業を海外から「留学生」が受講するのとでは、大きな違いがある。
大学や語学学校に留学をする人は、学校の授業を受講することが、大きな目的の一つだ。それが留学する目的のほとんどと言ってもいいかもしれない。大学の授業で知識を身につけたり、単位を取って資格をとったり、語学学校の授業で英語力を伸ばしたりする。そこが大学留学、語学留学の目的だ。
だから、大学や語学学校が海外にいる「留学生」に、現地で行っている「授業」を配信し、それを海外から受講することで、留学生の目的の多くは達成できる。
でも中学高校留学生は、学校の授業を受けて知識や単位を取ったり、英語力を伸ばしたりすることだけが目的ではない。目的はもっと他にあるのだ。
中学高校留学では、現地の学校に行って、現地の人たちと出会い、友達を作り、学校の雰囲気を味わい、そこにある音や臭いや目に入ってくるものを感じ、異なる文化に触れ、ホームステイで日本とは違う人と話したり、日本とは違う食事をしたり、日本とは違う生活をする。朝、バスや徒歩で学校に行き、日本とは違うシステムや時間割に沿って動き、最初は場所もわからずに教室を探してうろうろする。やさしく話しかけてくれる現地生徒に感動し、冷たくされて落ち込み、現地学校の教室や設備に驚く。町に行って自分で英語で買物をして自信をつけたり、生活の不便さに、時間の流れ方の違いに、人々の言動や行動に、いちいち何かを感じ、考える。
それが、中学高校留学の大きな目的なのだ。
言い換えると、留学は「経験」で、その「経験」をするために、ニュージーランドにやってくる。
だから、いくら中学高校が海外の「留学生」に対して、現地の授業をオンラインで配信しても、それを受講しようというモチベーションはなかなか起きない。
もちろん、大学留学や語学留学でも、中学高校留学のような同じ経験をするし、そこからたくさんのことを学んで、日本とは違う成長をする。
だから、本来は、留学とは、場所を移動して、留学先に身を置くことが大切なのだ。
でも、入国できない状態であれば、大学や語学学校なら、授業を海外から受けることで、留学の目的の大きな部分を達成することもできる。
ただ、経験が留学の中心である中学高校留学は、そういうわけにはいかない。
留学は経験だ。日本を出て、文化や言葉が違うところにしばらく身を置き、そこでいろんな人と出会い、いろんなことを考え、日本とは違う成長をする。
そのことを、入国制限が、逆に浮き彫りにしたように思う。
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