お金を使いすぎてしまうこともあるけれど

ニュージーランドで長期留学を始める中学高校生は、生まれて初めての経験をたくさんする。

自分の銀行口座を開設してEFTPOSと呼ばれるキャッシュカードを持って、そのカードで買い物をするのも、その経験の一つだ。

日本にいたときにはキャッシュカードどころか銀行口座も持っていなかった人がほとんどだし、毎日自分の判断で自分で買い物をするのも初めての人が多い。

その上、キャッシュレス社会のニュージーランドでは、ほとんどの店でEFTPOSカードで買い物ができるから、若い留学生の中には、どんどん使ってしまう人も出てくる。

日本ではお小遣いを月々1000円程度しかもらっていなかった生活から、財布の中に現金を持っていなくてもキャッシュカードでいくらでも使える(と感じる)生活にいきなり変わるのは、衝撃的な経験だ。そしてついつい使いすぎてしまう。

使いすぎると言っても何万ドルと使えるわけではないけれど、100ドルとか200ドルの買い物を1週間程度でしてしまう人もいる。

当然保護者の方は怒る。留学生は怒られて「しまった!」と思う。我々も、親御さんから連絡を受けて留学生と話をする。

でも、あえて言えば、キャッシュカードを使い始めた若い留学生達は、お金の使い方を必ず間違える。それでいいのだと思う。

目の前にほしいものがあって、現金を持っていなくてもカードで買えるとなると、ついつい買ってしまう。人間誰しも弱い存在だから、そこでがまんするのは難しい。まして中学生や高校生の年齢ならなおさらだ。

でも、誘惑に負けたり、わかっていても使ってしまったり、なんとなく買い物をしたり、そんな経験をして、怒られて、お金の使い方を身に付けていくのだと思う。

逆に、18歳になって働き出してから初めてカードを持って、限りなく使ってしまってにっちもさっちもいかなくなるよりは、十代のうちから、保護者の管理のもとで、使い方を覚えていったほうがいいだろう。

カードでの買い物は特にそうだけれど、お金なんてしょせん数字が動くだけで、ものすごく抽象的なものだ。現金にしても、100ドル札は100ドルのものと交換できるという信用があるだけで、お札自体が100ドルの価値があるわけではない。そこには、抽象的な信用や価値がある。

そんなことを、十代のうちからお金を使いながら、考えて行くのもいいと思う。

そして、しょせん数字の増減に過ぎないお金を、でも、生活していく上で、生きて行く上で、とても大切なお金というものを、自分で、どう使って、どうコントロールして、どうマネージメントしていくのか。

留学生活の中で、失敗もしながら、そんなことも考え、身に付けていければいいと思う。

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