私はやればできるんですよ

日本で働いていたときにも、高校生や浪人生の進路指導を行っていた。千人を越える学生に実際に接したけれど、毎年決まったフレーズを耳にした。

「私はやればできるんです。でも、今はまだ本気でやっていないので結果には現れていないんです。」

4月にそういっていた学生の中には、夏休みにかけて本気で勉強して成績を伸ばした人ももちろんいるけれど、9月になってもまだ、「私はやればできるんですが、まだやっていないだけなんです。」と言う人もいた。

ほとんど全ての人は、勉強でもスポーツでも生活でも、「やれば」できるのだ。それはあたりまえのことだ。問題は、やるまでに、やる気を出して準備をする部分で、まずは自分でそこをどうするかだ。

ニュージーランドで留学生と進路相談をするときでも、やはり中には「今はまだですけど。。。」というフレーズを耳にすることがある。「私はこんなことがしたい」とか「これについて調べてみます」と言うのだけれど、次にあったときには「今はまだですけど、今からやります」と言う。そう言う人もきっと「私はやればできるのだから、今は少しぐらい他のことに時間を使っても大丈夫」と思っているのだろう。

でも、「私はやればできるんです」というのは、言い換えれば「私は今は何もやっていないんです」ということだ。今何もやっていない人が、明日何かをいきなり始めるのはとても難しい。そしてたとえ明日から始めたとしても、トップスピードまで上げるのは時間がかかるし、その後に成果が出るまでにはもっと待たなければならない。

「私はやればできるんです」と言っている人の中で、その後本気を出してやる人は多くない。残りの人は、「今は何もやっていない」言い訳をしているにすぎない。

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