高校留学生と絵葉書
ここ2~3年、高校留学生でも、タブレットやiPod、スマートフォンを日本から持ってきて、Wifi を使って日本と通信することが、あたり前になりつつある。この流れはおそらくこれからも続くだろうし、ディバイスやSIMカードの使い勝手がよくなってくると、留学中もっと簡単に日本語で日本と通信ができるようになるだろう。
高校留学生がホームステイや寮でタブレットやスマートフォンを使って、日本語で通信をすることについては、またこのブログでも取り上げたいと思っている。
留学生活における、そんな急激な通信環境の変化の中で、「うちの子どもにはタブレットやスマートフォンどころか、現地の携帯電話も持たせません。」とおっしゃる保護者の方もいる。理由は簡単だ。せっかく英語漬けの生活ができる環境、せっかく一人で家を出て他人の釜の飯を食う経験ができる環境にあるのに、わざわざ日本語で日本といつでもつながることができる道具を持たせる理由がない、ということだ。つまり、タブレットやスマートフォンが、留学でしかできない貴重な経験の邪魔をしている、ということだ。
私もこの考えには賛成だ。留学中、いつでもどこでも日本とつながることができる環境は、高校生の留学生活に果たしてプラスになるのだろうか、すごく疑問だ。
タブレットもスマホも、現地の携帯電話も持たないその高校留学生に先日会いに行った。彼は、自分の部屋で机に向かって、一所懸命、友達に自筆ではがきを書いていた。机の右側には自分で買ってきた絵葉書がたくさん並べられ、左側には住所録が置かれ、真ん中にはペンと書きかけの絵葉書があった。留学中のお小遣いも決まっているだろうから、絵葉書を買う時も、友達の数を数え、持っているお金を数え、丁寧にはがきを選んで買ってきたのだろう。そして、一人一人の友達の顔を思い浮かべながら、住所や名前を書き、近況や思うことを書き、切手を貼って自分でポストに投函しに行くのだろう。
そのはがきは、飛行機に乗って、おそらく1週間くらいかかって相手に届く。もらった人も、おそらくは久しぶりの絵葉書だと思うし、海外からはがきをもらうのは初めての人もきっといるだろう。そして、丁寧に書かれた文字を一言一言ゆっくりと読み、裏のニュージーランドの風景を見て、「こんなところで、こんな生活をしているんだ」と感じるのだろう。ひょっとしたらはがきをもらった友達も、「綺麗なはがきをありがとう」という書き出しで、彼に手書きのはがきで返事を書くかもしれない。
その高校留学生は、人生の中でとても貴重な経験をしているし、その経験から学ぶこともたくさんあると思う。きっと素敵な成長の仕方をしてくれると期待している。
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