サングラス
スポーツ用のサングラスを買いに行った。
それまで使っていたサングラスが壊れてしまったので、今度は丈夫なものを買おうと思っていた。店員さんに、「マウンテンバイクで使えるような、そして強度の高いサングラスはありますか」と聞いてみた。店員さんは丁寧にいろんなサングラスをケースから出して説明してくれた。
私はどんなサングラスをかけてもどんな眼鏡をかけても、全く似合わないので、デザインが格好良くてもあまり関係がない。カッコいいサングラスだとよけいに私の顔のまずさが際立ってしまうので、地味なほうがいいくらいだ。だけど、それまでに使っていたサングラスのように、すぐに割れたり壊れたりするのは困るので、とにかく丈夫なものを店員さんにいくつか出してもらった。
私が何度も「強くて壊れない」ことを強調するので、店員さんは困ったのだろう。「落としたくらいでは、割れもしないし傷もつきません!」と自信満々におっしゃった。それでも私が少し不安そうな顔をしていたのかもしれない。どれほどそのサングラスが強いかを丁寧に説明してくれた。「マウンテンバイクで顔からこけても、絶対にサングラスは割れません!」「正面からグーで殴られても絶対に割れません!」そして最後には、「目の前で爆弾が爆発したとしても、このサングラスだけは絶対に割れません!」とおっしゃった。
マウンテンバイクで顔からこけたときに割れないというのはとても魅力的だけれど、正面からグーで殴られたら、サングラスは割れなくても、私の心がきっと粉々に割れてしまうだろう。そもそもスポーツ用のサングラスをかけているときに、正面からグーで殴られるというシチュエーションがとても困ったもので、できることなら今後の人生で起こってほしくない出来事だ。
そして、目の前で爆弾が爆発しても割れないサングラスも、とても信頼が置けるのだけれど、サングラスが無傷で残ってたとしても、かける顔がなくなってしまうのではないだろうか。「本末転倒」という言葉が頭をよぎった。
そのサングラスがとても丈夫なことがよくわかったし、その店員さんのこともなんだか好きになったので、その店でサングラスを買った。
今のところ、バイクで顔からこけていないし、正面からグーで殴られてもいないし、目の前で爆弾が爆発してもいない。だから、サングラスも、私の心も、私の顔も、とてもいい感じだ。
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