ロックダウンは家にいるだけでは解決しない

ニュージーランドがロックダウンに入って、3週間が経った 。

スーパーマーケットなどは開いているけれど、基本的にはみんな家の外には出られない。 エッセンシャルワーカー以外は仕事にも行けないし学校も休校なので、多くの人がずっと家の中で過ごしている。

ロックダウン前と生活は大きく変わった。

いきなり仕事も学校もなくなると、みんなやることがなくなって、最初は、朝はゆっくり寝て夜は遅くまで起きている不規則な生活になったようだ。でも、ロックダウン開始からしばらくすると、多くの人は朝きちんと起きて決まったルーティンをこなすようになってきた。

毎日決まった時間にエクササイズやウォーキングをしたり、中学高校生は勉強をしたり、家族そろって3食決まった時間に食事をとったり、午後はガーデニングやDIYをしたりする人も多くなってきた 。

でも、そんな規則正しいルーティーンにそった生活でも、3週間も経つとみんなだんだん疲れてくる。

「私達は、なぜこんな生活を強いられているのか?」という疑念がうかんでくるからだ。

そしてその理由が、自分や自分の家族の中にはないことに気づく。自分と自分の家族の外側の世界も、同じように以前と全く変わってしまっているのだ。

自分が暮らしている街で、国で、そして世界中で、新型コロナウイルスの感染が拡大しているからこそのロックダウンだ 。

そのロックダウンを乗り切るために、自分たちは毎日のルーティンに従って生活をしている。けれど、ロックダウンの原因が解決しない限り、その状態は続く。

そんなことを時々思い出して、このルーティンは、いつまで続くのだろうという気持ちになって、そしてそれが自分の努力だけでは絶対に解決しないことに愕然とする。

ロックダウンは、ひとり一人の毎日のルーティーンだけでは乗り切れなくて、自分がいくら努力をしても、外側の世界が変わらない限り、今の困難な生活も変わらないことを思い知る。

だから次に考えることは、自分の外側の世界を、どうすれば変えることができるのか、ということだ。考えることの中心は自分から外の世界に移る。

つまり、ロックダウンになると、まずは自分の生活をどう変えればばいいのかを考えて、行動をする。そして時間が経つと今度は、ロックダウンを引き起こしている原因である外の世界に目を向ける。

そしてだんだん、現在の世界に対する自分の態度や考え方、未来の世界に対する態度や考え方に目を向けるようになる。

ロックダウンのもとでは、自分や家族が決めたルーティーンを続けることは、問題解決のほんの一部に過ぎなくて、実は、本当に考えなければならないことは、自分が暮らしている社会、地域、国家、そして世界と、その未来についてなのだ。

そしてそれを考えた上で今度は、逆に、その世界の中で自分と自分の家族がこれからどうやって生きていくのかを、また戻って考える。

今は世界中のひとり一人が、そんなことを考えることが求められていると思う。

そして今は、そういうことをゆっくりと考える時間が十分にあるのが、不幸中の幸いとも言えるかもしれない。

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