恵方巻を責めないで

2月3日は節分。豆まきの日だ。

でも日本では最近豆まきと同じく、恵方巻を買って食べる日になっているようだ。

「恵方巻」で調べてみると、Wikipediaでは「節分に恵方を向いて無言で食すると縁起が良いとされる巻寿司のこと。商都大阪発祥の風習と言われているが、1980年頃までは大阪市内でも知名度はほとんど無く、その起源の定説は未だ存在しない。」となっている。

実際に大阪以外で恵方巻が一般に知られるようになったのは最近のことのようだ。

私は大阪生まれの大阪育ちなので、子どもの頃、1980年より前の時代だけれど、2月3日に巻き寿司を丸かじりしたことを覚えている。「黙って食べること」と言われて、無言で黙々と食べたように記憶している。

この恵方巻。コンビニやスーパーで大量に販売されるものの、2月4日以降には大量に廃棄処分されることが大きなニュースになっている。

でも、この恵方巻きの大量廃棄は、ここ数年話題になりながら、その問題が解決したという話は聞かない。そして、「大量の恵方巻きを廃棄するなんて、けしからん!」という方々が、ネットやテレビで意見を述べていらっしゃる。

おっしゃる通り、もったいないと思う。おそらく多くの方がそう思うだろう。

でも、大量廃棄がけしからん!という話題からだんだん、「そもそも恵方巻など日本の文化ではなかったんだ。なんだこの風習は!恵方巻などやめてしまえ!」という意見も見られるようになってきた。

恵方巻→大量廃棄→けしからん→恵方巻が悪い→恵方巻などやめちまえ!

という流れだ。

でも、子どもの頃に黙って黙々と巻き寿司の丸かじりをした人間としては、ちょっと待ってほしいと思う。

恵方巻が大量廃棄されることはけしからんと思う。でも悪いのは恵方巻ではなく、大量廃棄だ。恵方巻はどちらかと言えば被害者だ。

もともと大阪文化圏の風習だったから、それ以外の文化圏の方から見れば「奇妙な風習」に見えるだろう。でもだからと言って「恵方巻きなどやめてしまえ!」はちょっと違うと思う。

そんなことを言えば、自分が理解できない文化の風習は、それがもたらす影響がよくないという理由で他の文化圏の人々がやめてしまえ、と言える、ことにもなりかねない。

もちろん何を言おうが自由なのだけれど、それがOKになると、ニュージーランドの文化に触れた日本人が、「こんな奇妙な風習けしからん」と言えることにもなるし、海外から日本の文化について「やめてしまえ」ということもOKと言わざるを得ない。

大量廃棄は大きな問題だ。でもそれは恵方巻をビジネスの中に取り込んで徹底的に消費しようとした結果であって、恵方巻それ自体は全く悪くない。

来年の節分の次の日に、恵方巻などやめてしまえ、という意見がネットやテレビで出てこないような、何か解決の方法があればいいのだけれど。

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