ヌーハラから考える異文化共存

最近日本で「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」というのが話題になっているそうだ。

ヌーハラとは、「日本に来た外国人が日本人が“ズズズ”と麺をすするのを聞いて、精神的苦痛を感じる状況」だという。

これに対してはいろんな意見があるようだ。ある人は、「日本に来たら、麺をすすって食べるのは当たり前」と言い、ある人は、「不快に感じるのはわかる」と言う。

最近は、何でも「ハラスメント」を後ろにつけると話題になるので、ヌーハラも一種のネタだと思うけれど、ニュージーランドで20年暮らしてきた人間としては、似たような経験もしてきた。

例えば、ある留学生のホームステイ先から電話があり、「彼はいつも鼻をすすっているけれど、ものすごく気になるので、家でファミリーと一緒にいるときには、鼻をすすらないように伝えてほしい」と言われたことがあった。

ニュージーランドの人達は人前で鼻をすする音を極端に嫌がる人が多いけれど、日本ではあまり注意されない。だから、日本から来た留学生は、周囲の人達が自分の行為に嫌な思いをしていることに気付かなかったのだろう。名前をつけるとすればハナハラとでもなるのだろうか。

また例えば、ニュージーランドのパケハの人、ニュージーランド在住の香港からの移民、マオリの人、そして日本からの移民である私達、それに加えて、それら家族のニュージーランド生まれの子ども達、などと一緒に、私達の家で一品持ちよりで食事をした時、テーブルには、ヨーロッパ風の料理から、チャイニーズ、日本食、マオリの食事、などが並ぶ。みんなナイフ・フォークとお箸を使って食べる。

そんな時、どの文化の食事のマナーに合わせるのがいいのか考えたこともあった。でも、結局、その場にいる人達がみんな不愉快にならないのであれば、特定のマナーにこだわる必要もないし、ある人がその人の文化の食事のマナーで食べていても、みんな何とも思わない。

それどころか、友達同士なので、「あなたの文化では、そんな食べ方をするのか?」と、直接聞いて、そこから食事のマナーの違いや、文化の違いなどに話が広がる。広がった話は、時には政治や経済の話題にもなるけれど、食べながら飲みながらのそんな会話をみんな楽しんでる。

ヌーハラというネタは、異なる文化を持った人達が一緒に何かをする時に、どう考えてどう行動するのか、ということを考えさせてくれる、興味深い話題だと思う。

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