日本は少し違う
年に何度か仕事で日本に行く。今年も5月と10月に、高校留学個人相談会を東京と大阪で実施する予定だ。
20年ほどニュージーランドで暮らしていると、たまに日本に行った時、「そうか、日本ではこうなっているんだ」と逆異文化体験をすることがある。日本がいいとか悪いとかではなく、おそらく海外から日本に来た人達も同じように感じるであろうちょっとした違い。
2年後の2019年にはラグビーのワールドカップが日本全国で行われ、3年後の2020年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。両方のスポーツイベントともにすでに前回の大会は終わっているので、注目は開催国である日本にすでに集まっているはずだ。2019年や2020年になる前にもたくさんの人達が海外から日本に訪れるだろう。そしてそんな訪問者達も日本に来たときに、自分たちが住んでいるところと違う経験をするだろう。
例えば、エスカレーター。大阪では右側に人が立って歩く人のために左側を空けるけれど、東京では左右逆だ。でも、成田空港や関西空港で飛行機を降りてすぐのエスカレーターでは、どちらも二列に並んで、歩いている人はいない。おそらくそこは大阪でも東京でもまだないのだろうし、どちらかを空けて乗るという人々の了解ができていない空間なのだろう。だから、成田空港や関西空港を出てエスカレーターに乗るとみんな片側を空けているのに驚くだろうし、新幹線で移動してみると、大阪と東京で空ける場所が違うのにもびっくりするだろう。
また例えば、くしゃみ。ニュージーランドではほとんどの人が公共の場では大きな音を立ててくしゃみをしない。何とか音を押し殺して絞り出すような、せき止めるようなくしゃみをする。でも日本では、たとえ飲食店でもお客さんが大きなくしゃみを何のためらいもなくしていることがある。日本にずっといると気にならないかもしれないけれど、ニュージーランドで暮らしている人達にはかなり気になると思う。
あるいは例えば、成田空港の入国審査。日本でもほとんどのところでは、複数の窓口があっても一列に並んで順番を待つようになっている。しかし、成田空港の入国審査はなぜか窓口ごとに並ぶ。たまに日本パスポート用の窓口に海外パスポートを持った人が並んでいて、審査する窓口まで行ってから「もう一度向こうの窓口に並んでください」などと言われているのを見ると、一列並びにして、途中に「日本以外のパスポートの方は奥の窓口で審査を受けてください」と掲示しておけばいいのに、と思う。
そして例えば、ファーストフード店での注文。日本のファーストフード店やフードコートなどでは、ほとんどの場合先に自分たちが座る席を取って、そこに荷物などを置いてからカウンターに行って注文をする。ニュージーランドでは、通常はまずカウンターに行って注文して受け取ってから、トレーを持って「どこに座ろうか」と席を探す。海外から来た人の中には、まず席を確保するなどということは夢にも思っていない人もいるだろう。
また、ニュージーランドのファーストフード店やフードコートなどでは、食べたものはそのままテーブルの上に置いておくのが基本だ。だから、海外から日本に来た人達は恐らく何の悪気もなくテーブルの上に置いて席を立つだろう。それは、マナーがなっていないのではなく、その人達が暮らしているところではそれが当たり前なのだ。
最後に例えば、公衆トイレの男女の場所。ニュージーランドの空港やショッピングモールなどのトイレは、手前に女子用があって、その前を通り過ぎた奥に男子用がある場合が多い。でも日本では、たいていの場合、手前に男子用があって、奥に女子用がある。ショッピングモールなどでもそうだし、百貨店でもそうだ。それぞれの理由はよくわからないし、統計をとったわけではないのでそれぞれの国でどこでもそうなっているとは限らないけれど、おそらく男子用女子用の場所の違いはあると思う。
日本で生まれ育って大人になってからも日本で何年か暮らしていた私でも、しばらくニュージーランドで暮らしていると感じる違いがあるのだから、海外から日本に初めて来たという人達は、もっといろんなことを感じるのだろう。
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