やる気だけは誰にも負けません

もう10年以上前だけれど、飲食店でアルバイトの採用を担当していたことがあった。応募者のほとんどは20代の若い男女で、履歴書での書類選考から面接まで私がやっていた。

応募者の中には、経験も豊富で、面接でもこちらが「なるほど」と思わずうなってしまうような受け答えをする人もたくさんいたけれど、中には「?」という人もわずかだがいた。

特に若い人に目立ったのは、履歴書に「やる気だけは誰にも負けません」と書いてあったことだ。

給料を払って長い間一緒に働く人を探している採用する側からすると、「やる気だけは誰にも負けません」と履歴書に書いてくるような人は、なるべくなら書類選考で通さないでおこうと思う。

「やる気だけは誰にも負けません」というのは、他にアピールできるものを持っていないという意味に受け取る。履歴書を見て何か経験や資格を持っているのであれば、それらをピックアップするのだけれど、経験も資格もない履歴書に、「やる気」だけ書いてあっても、プラスにはならない。

セールスポイントがない場合、頑張ろうという気持ちを前面に押し出さざるをえないのはわかる。でも、一緒に長い間働いていくスタッフを探している立場からすると、「やる気だけは誰にも負けない」のは最低条件だ。経験や資格はあるけれどやる気は他の人には負けています、という人はまず採用されない。やる気があって、その上で経験や資格が求められる。

そう考えてみると、何をする時にも、「やる気だけは誰にも負けない」というのは、最低条件だ。やる気にプラスして、自分は何ができるのか、自分は何を持っているのか、というところが問われる。仕事もそうだし、勉強もそうだし、留学でも同じだ。

だから、例えば留学に来る時にも、「やる気だけは誰にも負けません」だけでは十分ではないだろう。

留学する場合は、決まってから渡航までに数週間から数ヶ月の時間がある。その期間、留学に当然必要な「やる気」以外に、留学して自分は何ができるのか、留学をスタートさせる時に自分が持っている力、スキル、知識、は何なのか、をじっくりと考えてくることも大切だ。

そういう作業を通して、自分自身を客観的に見つめ、自分の強みやウイークポイントを発見し、留学の具体的な目標を見つけ、しっかりと準備をして、留学をスタートさせることができると思う。

「やる気だけは誰にも負けません」以外に、具体的な何かを持って留学に来るのがいいだろう。

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