いい本との出会いは

高校留学生達に話を聞くと、日本にいた時に本を読んでいたという人が少ないことに驚く。

ニュージーランドの高校ですばらしい成績を取って、プライズギビングで表彰されているような学生でも、「私は生まれてから本はほとんど読んだことはありません」という人もいる。本当だろうかと思うけれど、その学生は真剣に言っている。

もちろん、ニュージーランドに留学に来てからもずっと本を読んでいる学生もいるし、現地の図書館で日本語の本を借りて読むという人もいる。

ただ、日本では本を全く読まなかったけれど、ニュージーランドに来てから英語の本をすごく読むようになりました、という留学生はほとんどいない。勉強はするようになっても、本を読まない人はずっと読まないし、読む人はどこにいても読んでいる。

彼らを見ていると、読書は小さい頃からの習慣なのだと思う。せめて小学生くらいの時までに読書の習慣を身に付けている人は、どこに行こうが、何語であろうが、本を読むことに抵抗がないし、本を読まない人生など思いもつかないだろう。でも、小さい頃に読書の習慣を身に付けなかった人は、おそらく大人になっても進んで本を読むことはないだろうし、どうしても本を読まなければならない状況になったら、かなりの抵抗を感じるのだろう。

いい本との出会いは、時には人生を変えることもあるくらいの大きな出来事だ。その本を読んだから、その後の考え方が変わったとか、人に接する方法を変えたとか、感じ方が変わった、という経験をした方も多いと思う。いい本との出会いは、いい友人との出会いにも匹敵するくらいの出来事だ。

だから、本を読まないというのは、人生で大切なものに出会うチャンスを逃しているようにも思う。

少し現実的なことも言えば、本を読まない人は、文章も書けないことが多い。高校留学生が日本の大学の帰国子女入試を受ける時に、志望理由書を書いたり、小論文を書いたりする。書いたものを事前に読んでみると、そもそも日本語として何を言っているのか全くわからない内容だったり、中には申し訳ないけれど文章とは言えないようなものもある。私達ができる範囲で学生と一緒に直すのだけれど、最初がそれだとかなり時間もかかる。

中学生の年齢から長期留学に来る人は、できれば日本にいる間に、読書の習慣をつけてくるのがいいと思う。留学先で日本では出会わなかったような本に出会って、それが人生を変える機会になることもあるだろう。

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