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私がまだ日本で暮らしていた頃、小学校の運動会の徒競走で、みんな手をつないで一緒にゴールする、ということが実際に行われていて話題になった。足の速い遅いで順位をつけない、ということだったと思う。

今でも行われているのかどうかはわからないけれど、これからの世の中を考えると、みんな一緒で順位をつけないというやり方、つまり、一人一人の違いを認めないという考え方は、どこかで大きく無理が出てくると思う。

なぜなら、一人一人はもともと違うのだから。足が速い人もいれば、遅い人もいる。算数ができる人もいれば、絵が上手な人もいる。たくさん友達がいる人もいれば、人付き合いが苦手な人もいる。見た目も一人一人違うし、考えていること、感じていることも違う。

そして日本にいると実感はないかもしれないけれど、世界に出れば、普段使っている言葉も違うし、文化も国籍も宗教も受けてきた教育も違う人達が何億人といる。

これからの小中高校生は、世界の人達と普通に交流して生きていく。実際に海外に出なくても、ネットを通じてそのチャンスは今までよりも確実に増えていく。そんな若い人達が、一人一人が違うという感覚を当たり前のように持っていなければ、世界では通用しないだろう。

「一緒にゴールする?何それ?」「何故違いが認められないの?」と、明らかに自分と違う人から問われたら、小学生、中学生、高校生はどう答えるのだろうか。言葉や文化や国籍が違う人達から「みんな一緒がいいってどういうこと?」と聞かれたら、きちんと説明できないだろう。

それに、世界から見れば、日本という国、日本の文化、日本の社会は、世界の標準ではないし、世界の他の国、文化、社会と同じではない。それは、他の国、文化、社会がそれぞれ同じではないのと一緒だ。そんなスペシャルな国、文化、社会の中だけでみんな一緒であっても、世界の視点から見れば明らかに「違う」人達なのだ。もっと言えば、日本の中でみんな同じになればなるほど、世界の中では「違う」人になっていく。

だから、最初から人は一人一人違うことを前提に、世界と対話をしていかなければうまく行かないだろう。今の小中高校生は、そのことを確実に頭に入れ、そしていろんな経験を通して「実感」してほしいと思う。