最低賃金時給1,270円

留学生や学校のスタッフと、たまにカフェに行ってランチをしたりコーヒーを飲んだりする。ロトルアにはカフェがたくさんあって、ランチタイムはたくさんの人達で賑わっている。

ただ、日本の昼食と比べると、どこのカフェのランチもその価格が高い。コーヒーが4ドル程度、ランチは15ドルから20ドル近いメニューもある。量は十分なのだけれど、そんなにたくさんいらないから安くしてほしいと思うこともある。

今の為替レートで計算すると、ランチにコーヒーをつけて1,690円から2,180円というところで、毎日カフェでランチはかなりつらい価格だ。ただ、マフィンやパイなどは5ドル前後でテイクアウェイできるので、昼食はそういうもので済ませる人も多い。でも、パイとコーヒーをテイクアウェイすれば850円程度にはなる。選択肢の多い日本と比べると、かなり高いと思う。

ニュージーランドの外食の価格が高いのは、絶対的な販売量が少ないなどいろんな理由があるだろうけれど、人件費が高いのも一つの理由だと思う。メインシェフの人件費は当然だとしても、ニュージーランドの最低賃金が現在時給14.25ドルだから、日本円にして1,270円くらいだ。東京都の最低賃金が869円だそうだから、1.5倍近くにもなる。

経営者としては、どんなスタッフにも時給1,270円を最低払うとなると、そのコストをお客さんへの販売価格に上乗せせざるを得ない。だから必然的に、カフェのランチも高くなるのだろう。また、ニュージーランドでは祝日の出勤は給料が高くなるので、飲食店によっては「サーチャージ」と言う名目で、祝日は価格を高く設定している場合も多い。まさに、人件費分を価格に直接乗せている。

そしてニュージーランドでは、年間4週間の有給休暇を取得でき、ほとんどの人は全て消化している。例えば、12人のスタッフが必要な年中無休の職場があって、12人のスタッフが交代で連続4週間の有給休暇を取るとすれば、ほぼ一年中誰かが有給で休んでいる計算になる。つまり、12人のスタッフを雇っているのに常に11人のスタッフしかいないことになる。仕事を回していくのに12人が必要なら、13人をフルタイムで雇う必要がある計算だ。コストで言えば、9%以上の人件費がプラスで必要になる。

日本も、デフレ脱却で給料が上がることも期待されているけれど、労働環境の改善と向上とともに最低時給も上がっていくのなら、安くておいしいランチが食べられる場所もこれからは減っていくのかもしれない。

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