面接の自己紹介で名前と学校名は必要か?

弊社では毎年、高校留学最終学年のYear 13の人達を中心に進路指導を行っている。

長期の高校留学生の中には、日本の大学に進学を希望する人達もいるし、ニュージーランドの大学やポリテクニックに進学をする人もいる。

日本の大学に出願をする人は、通常一般入試ではなく帰国子女入試やAO入試を受験する。それらの入試は、自己推薦書を提出した後に面接が実施されることが多い。だから我々もゆっくりと時間を取って、模擬面接など大学の面接の準備も手伝う。

模擬面接をする前に、我々はその留学生が出願する予定の大学、学部の情報を集めて想定質問を作る。そして想定質問の中に「自己紹介をしてください」というのを入れる。今までの高校留学生の受験体験を聞いていると、多くの日本の大学・学部で自己紹介が求められていたからだ。

そして模擬面接で「自己紹介をしてください」と留学生達に質問すると、ほとんど全ての人が「私の名前は○○で、△△高校のYear13に在籍しています。」と言う。

どうもそれに違和感があった。面接官はすでにそれぞれの学生の自己推薦書を手元に持っているはずで、名前や在籍高校はそこに必ず書かれているから、限られた時間内にわざわざそんな情報を自分から、しかも自己紹介で伝える必要はないだろう、と思ったからだ。

日本の面接で自己紹介をしてくださいと言われたとき、名前や在籍学校情報は必要なのだろうか。「面接」「自己紹介」などでググってみた。

出てきたほとんどの情報は大学生に対する就職面接情報だったけれど、「自己紹介をしてください」と言われたら、まずは必ず名前と大学学部名を言う、とどの情報にも書いてあった。日本ではそれが当たり前なのだ。

そして、ほとんど全ての情報に、「自己紹介と自己PRは違う」と書いてあった。自己紹介をしてくださいというのは自分の紹介をすることで、そこで自己PRはしてはいけない、という。また、集団面接で他の人が自己PRをしていないなら、空気を読んで自分も簡単な自己紹介にとどめるべき、などと書いているサイトもあった。自己紹介はせいぜい1分間程度にすべきなどとも書いてある。

ではニュージーランドではどうなのだろう、と「job interview」「introduce yourself」 などで検索してみた。

あるサイトには、introduce yourself という質問は、面接官があなたの第一印象を掴むためによくなされるオープンクエスチョンで、それに対しては、あなた自身のアチーブメントを明確にし、仕事内容とリンクした、ポイントを絞った返答をすべき、と書かれてあった。

また別のサイトでは、この質問で面接官は、あなたの経験、スキル、教育について知りたいのです、と書いてあったり、ここではあなたの履歴を述べるのではなく、あなたの主なセリングポイント、しかも、その仕事に関連するセリングポイントについて述べるべきだ、と書いてあった。そして、職歴について述べると同時に、教育や資格、趣味などについても述べるべきですとのことだ。

これらの情報を見てみると、ニュージーランドのjob interview でintoroduce yourselfと聞かれたときには、名前や学校名を言う必要はない。そして、単に履歴書に書かれてあることを述べるのではなく、自分の強みを経験やスキルを、職歴や資格に絡めて、仕事と関連づけて述べることが必要だ。つまり、自己PRをする。

ただそもそも、日本の就職面接に関するサイトは、「新卒一括採用」を大前提にしているのに対し、ニュージーランドのものは、転職が前提だ。また、ニュージーランドでは面接室に入ったときに最初に握手をして双方が名前を名乗ることも多いので、前提が大きく異なる。

しかし、日本の面接情報が、まずこれを述べて、それからこれを言って、と具体的なマニュアルになっているのに対し、ニュージーランドの情報は大まかにこんなことを伝えなさいというサジェスチョンになっている。また、日本の情報は、他の学生がやっていることを見たり場の空気を読むことが大切だと言っているのに対し、ニュージーランドの情報は、自分自身が持っているものを自分のスキルで表現しなさい、となっている。

違うというだけでどちらがいいということではない。けれど、数年間ニュージーランドで留学生活を過ごした人が日本で面接を受ける場合や、逆に、日本で面接を受けた経験のある人がニュージーランドで面接を受ける場合は、それぞれに状況や求められているものに違いがあることをよく理解しておく必要があるだろう。

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