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最近日本から発信されるネットの情報を見ていると、また「ワークライフバランス」という言葉が増えてきたように思う。

ワークライフバランスは簡単に言えば、仕事とそれ以外の時間をうまくバランスを取って生活していきましょう、と言うことだ。

とにかく仕事中心の生活で寝る間も惜しんで仕事する、という選択もあると思うし、それを否定することもないだろうけれど、何とか自分の生活を変えたいと思っている人は、仕事とそれ以外の、一日あるいは一年の、時間やお金やエネルギーの使い方を考え直してみるのもとてもいいことだと思う。

日本に比べるとニュージーランドは、比較的ワークライフバランスを個人個人がうまく取って生活しているように思う。自分でビジネスをしている人や特別な仕事以外は、残業はほとんどないし、週に2日は休みだし、一年に4週間の有給休暇を全て消化できる国だ。日本の会社で定時にはまず会社を出られない、という方からすると、うらやましいかもしれない。

日本発信のワークライフバランス情報を見ていると、「あなたはワークライフバランスをうまく取っていますか?」とか「こうすればワークライフバランスをうまく取ることができて、人生が豊かになる!」という内容がほとんどだ。確かにそうだろう。今まで毎日のように残業をしてきた人が就労時間を短くすると、仕事以外に時間を使うことができるし、人生が豊かに感じるだろう。

しかし、注意しなければならないのは、あなただけがワークライフバランスをうまく取るのではなく、社会全体で多くの人々が残業を減らし、仕事時間を減らし、それ以外のことに時間を使うようになる、ということだ。

社会の多くの人々が、今までよりも就労時間を短くする、つまり、ワークライフバランスをうまく取るようになると、社会全体はどう変化するだろうか。

おそらく、宅配便の細かい配達時間指定などはできなくなるだろうし、深夜には閉まるコンビニも出てくるだろう。また、取引先に電話をしたら、「担当者は今休暇中で、次に会社に出てくるのは2週間後です」などと平気で言われるだろうし、金曜日の夕方に仕事の電話をかけたら、「この話は来週にしてください」ということも増える。

ワークライフバランスをうまく取るということは、自分の人生だけが豊かになるということではなく、そういう社会になるということだ。

まさに今のニュージーランドがそういう社会で、4時45分くらいにリテイルショップに入ると、すでに片付けの真っ最中で「レジを閉めるので早く買い物してください」と言われ、仕事のメールをすると、「休暇中で4週間後に連絡しなおしてください」と自動返信が来る。また、レンタカー屋さんも土日が休みで、祝日には公共のバスも走らない。オークランドなどの大きな都市はそれほど極端ではないけれど、逆に言えば、ワークライフバランスをうまく取ることができない人も多いのだろう。

ワークライフバランス、いいねぇ、と思っている方は、自分だけがそうなるのではなく、社会全体のバランスが変わるのだ、ということも知っておく必要があるだろう。