留学生活は留学生のもの

13歳や15歳で長期の高校留学に来る学生達は、まだまだ未熟な部分も多いけれど、18歳で留学を終える学生達は、すっかりと落ち着いて大人になっている。3年間から5年間の高校留学生活は、彼ら、彼女らを間違いなく大きく成長させる。

成長すると一言で言っても、人それぞれいろんな成長の仕方をする。けれど、全ての留学生に共通する大きなポイントの一つは、留学生活を自分自身のものとして捉えることができるようになるかどうかだと思う。

留学を始めてすぐの学生に、「毎日日記をつけるといいよ」とか「ラグビーのトレーニングは自分できちんと考えて毎日やるのがいいよ」とか「現地の友達とどんどんコミュニケーションを取るのがいいよ」とか「今年の目標と計画をきちんと立てるといいよ」などとアドバイスをしたとき、全員が「はい、わかりました」と言うのだけれど、アドバイス通りにきちんとやる人とそうでない人が出てくる。その違いはどこから来るのだろうと考えると、やはり、「留学生活を自分自身のものとして捉えることができているかどうか」が大きいように思う。

13歳や15歳と言えば、特に留学を始める2月などは日本ではまだ中学生の年齢だ。日本では先生や親御さんに、「○○をしなさい」とか「こういうふうに考えなさい」などと言われてしぶしぶそれに従って来た人も多いだろう。だから、ニュージーランドの高校での留学生活が始まっても、大人が言うことには最初から「大人が言うからそれに従う」と考える癖がついている。言い換えると、アドバイス通りにするのは、単に大人が言うからであって、それが自分自身に直接影響することだ、とまでは考えない。つまり、自分のこととして捉えていない。もっと言えば、自分と大人との関係は、従う人と指示をする人、という関係で、ベクトルが大人から自分の一方向にしか向いていない。

でも、高校留学生達は、同年代の現地学生の行動や大人に対する態度を見て、自分の行動や態度と違うことに気づく。また、周囲の大人が言うことはまさに自分自身の生活や目標達成に影響することにも気づく。それらの経験を通して、態度や行動が変化し、自分と大人の関係が双方向のベクトルに変わって来る。

私が高校留学生達にアドバイスをする時には、「別に私が言う通りにしなくてもいいのだよ。私はこれがあなたにとっていいことだと思って言っているけれど、最終的にどうするのかは、自分で考えて決めてください。あなたがそれをしてもしなくても、影響するのは私にではなくて、あなた自身にとってです。」と言う。少し厳しい言い方だけれど、それは事実だし、「言われてしぶしぶやる」のでは、長い目で見ると、彼ら、彼女らのためにはならない。

周囲の大人のアドバイス通りに行動することで得られることは、全てその留学生が得ることで、逆にアドバイス通りにしないことで失ったり得られなかったりすることも、その留学生自身に直接影響する。もう少し広く言い換えれば、留学中に起こる全てのことは留学生自身のことであって、そこから学ぶことができるのは他でもない留学生自身であり、成長するのも留学生自身なのだ。留学は決して、人から言われるからやる、などというものではなく、自分自身で考えて、自分自身で選び、自分自身で行動し、自分自身で成長するものなのだ。

だから、目の前の経験、周囲のアドバイスなど、留学生活の全てを自分自身のこととして貪欲に取り入れていくかどうかが、留学生活では大きなポイントになる。

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