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物心ついたときには、すでに家にテレビがあった。

ただ、家にあったのはまだ白黒テレビで、たまにカラー放送の番組があって、画面の右下あたりに、「カラー」と表示されていた。白黒テレビでは、その「カラー」という表示自体が白黒で表示されるという物悲しさ。いつかカラーテレビでカラー放送が見たいと子どものころはあこがれていた。でも、今考えると、白黒テレビで見ている人には「カラー」と書いてもどうせ白黒でしか見られないので、表示する意味がないし、カラーテレビで見ている人には、すでにカラーで見られているのだから、わざわざ「カラー」と表示しなくてもいいので、なぜ「カラー」と表示されていたのか、よくわからない。一つ理由があるとすれば、白黒テレビを見ている人に、「カラー放送が見たい!」と思わせて、カラーテレビの購買意欲をかき立てる目的があったのだろうと思う。

そして、同年代の方は同じだと思うが、小学校に上がるころには、夜にテレビを見ることが習慣になっていた。ウルトラマンや仮面ライダー、スポコン漫画やドリフターズなど、毎日夕食後には何かの番組を楽しみに見ていた。そして、子どものころにテレビがなかった世代の当時の大人たちから「新人類」などと呼ばれ、「今の子ども達は理解できない」と言われた。

中学生くらいになったときにふと、「テレビがなかった時代には、子どもは夜は何をしていたのだろう」と思って、父親に聞いてみた。すると「うーん、何をしていたのか、思い出せない」と言われて、少し驚いた。おそらく父親も、夜に家でテレビを見る生活にすっかりなじんでしまって、テレビがない生活を思い出すことが難しかったのだろうと思う。

今の小中高校生は、生まれたときからインターネットがあった世代だ。しかも、小学生くらいなら、物心ついたときには携帯電話やタブレットがネットにつながっていただろう。私たちの世代が、物心ついたときにはテレビがあって、小学校くらいではずっとテレビを見ていたのと同じように、今の子ども達はずっと携帯電話でネットに接続している。実はツールが変わっただけで、やっていることは同じだ。

物心ついたときには、パソコンや携帯電話があって、それがネットにつながっている今の子ども達。彼らは「デジタルネイティブ」などと呼ばれ、大人達には理解しがたい部分も多い。でもわれわれ大人たちも、今は毎日毎日ネットにつながって生きている。そして「ネットが無い時代には、何をして過ごしていたの?」と子ども達に聞かれても、「うーん、何をしていたのか、思い出せない」と答えるのだろう。

そしてまた、われわれの世代が「昔は新人類などと呼ばれたよね」と懐かしむように、今の子ども達が「昔はデジタルネイティブなどと呼ばれたよね」と振り返る日も、そう遠くは無いだろう。