オールブラックスの「ス」
ニュージーランドに興味をお持ちの方やラグビーファンの方、このブログをたまにご覧頂いている方はご存知だと思うが、ラグビーのニュージーランドの国の代表チームの名前は、オールブラックス(All Blacks)という。
何故この名前がついたかには諸説があって、1905年から1906年にかけてイギリス遠征を行ったニュージーランド代表チームを新聞などがそう呼んだ、という説や、ロンドンの新聞が代表チームの戦いぶりを評して、全員バックスのように戦うと書きたてたことからオールバックスと呼ばれるようになり、それが変わってオールブラックスになった、という説などがある。
もともと何故オールブラックス(All Blacks)と呼ばれるようになったかは別にして、今ではそのユニフォームはほとんどの場合は黒が基調となっている。何年か前にアウェイのユニフォームを白にしたことがあったけれど、ニュージーランド国内の評判はすこぶる悪かった。
そのオールブラックス(All Blacks)。日本でも有名な名称だけれど、これはあくまでも「チーム」の名前だ。だから、「オールブラックスが日本で試合をした」とか、「オールブラックスの次の試合は6月に行われる」などと英語でも言うことはできるが、「オールブラックスのリチャード・カフイ選手が、、、」とか「元オールブラックスのバック・シェルフォード選手が、、、」という言い方は、正確には英語ではしない。なぜなら、オールブラックス(All Blacks)の「ス(s)」は複数形の「ス(s)」だからだ。だから、一人の選手について言うときには、英語の場合は例えば、「All Black No 8 Buck Shelford sensed there was something not quite right.」とか、「former All Black prop Richard Loe, who won 49 caps between 1987 and 1995.」などと、All Blacks ではなく、All Black と単数形を使う( ニュージーランドヘラルド紙より )。だから、英語では「オールブラックスになりたい」ではなくて、「オールブラックになりたい」というのが実は正確な表現だ。
これはオールブラックスだけではなくて、例えば、スーパーラグビーのチーフス、ブルーズ、ハリケーンズ、クルセーダーズ、ハイランダーズなどの名称もそれぞれはチーム名で、各選手は、英語では、元チーフのグレン・ジャクソン選手、とか、最もカッコいいクルセーダー、ダニエル・カーター選手、などと単数形でつかう。日本語だと、チーフ?クルセーダー?ちょっと変、と感じるけれど、オールブラックスのスは英語では複数形のs だから、単数形でもしs をつけると、英語を母語とする人達は、おそらくそのほうが変だ、と感じるだろう。
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