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京都府が、「大学ユートピア特区」という計画を打ち出したそうだ。

日本の新聞報道によると、府内の「全大学の学部・大学院を特区の対象とし、卒業時に永住を希望する留学生は原則許可を得られるようにする方針」とのことだ。期待できる効果としては、「特区効果で海外から優秀な人材を呼び込んで大学の国際競争力を高め、永住によって京都や周辺都市の活性化につなげるのが狙い。」と報道されている。

前提として、京都府の大学の国際競争力が低く、京都の街が活性化していない、という現実があるのだろう。その問題を解決する方法として海外からの留学生に着目した点は、大学の多い京都府ならではの着眼点だと思うし、10年後、20年後をにらんでその地域ならではの何らかの方策を立てた、という点では評価できると思う。少子化で大学全入時代に入った現在、海外からの留学生を呼び込むことで大学の学生数の減少も食い止められるかもしれないし、留学生が街の活性化に貢献することも考えられるだろう。

しかし、「卒業時に永住を希望する留学生は原則許可を得られるようにする」というのは明らかにやりすぎだと思う。

移民の国ニュージーランドでも、the Study to Work category というビザが2種類あるが、卒業時に申請できるのは制限付きの就労ビザで、京都府のように卒業時に永住を希望する留学生は原則許可を得られる、などということはない。

少し詳しく書くと、ニュージーランド移民局が公に出している情報によれば、ニュージーランドの大学や専門学校を卒業した留学生が、the Study to Work category で申請できるビザは、「Graduate Job Search Visa」と「Graduate Work Experience Visa」の2種類だ。

「Graduate Job Search Visa」は、大学や専門学校で学士など一定以上のレベルの資格を取得した留学生で、ニュージーランド国内でジョブオファーがまだ得られていない学生が、仕事を探す(ジョブオファーを得る)ためにニュージーランドに滞在することができる就労ビザで、期限は1年間だ。

「Graduate Work Experience Visa」は、一定以上のレベルの資格を取得した留学生でかつ、ニュージーランド国内でジョブオファーをすでに得ている学生が申請できるビザで、期限は2年間だ。またこのビザは、「Graduate Job Search Visa」保持者がジョブオファーを得たときにも申請ができるので、卒業後最長3年間の就労ビザを取得することも可能だ。

ニュージーランドの方針は、学士レベルなどの高い資格をニュージーランドで取得した留学生でかつ、ニュージーランド国内で仕事を得た学生に「就労ビザ」申請を許可する、というもので、永住権の取得はまたそこから先の話だ。就労ビザは当然期限付きで、就労先も変更するには原則として移民局の許可が必要だ。つまり、時間と場所が制限されたビザだ。

そして、この2つのビザを申請するためには、大学や専門学校で以下のような資格を取得する必要がある。

○ 永住権の技能移民部門でポイントとなる資格
○ ニュージーランドクオリフィケーションフレームワークのレベル7以上の1つの資格で、かつ、その資格に対するニュージーランド国内での就学期間が、1アカデミーックイヤー(1学年間)以上であること。
○ ニュージーランドクオリフィケーションフレームワークのレベル4から6の1つの資格で、かつ、その資格に対するニュージーランド国内での就学期間が、2アカデミーックイヤー(2学年間)以上であること。
○ ニュージーランドクオリフィケーションフレームワークのレベル4から6の、2つの資格を、それぞれの資格に対するニュージーランド国内での就学期間が1アカデミーックイヤー(1学年間)以上で、かつ、2つめの資格が1つめの資格よりも高い資格であること(トータル2学年間以上の就学)。

ニュージーランドのレベル7の資格とは、日本の大学の学士レベルの資格に相当する。上記のように、留学生が卒業後に申請できる就労ビザの申請条件は、細かく規定されている。

また、ニュージーランドの大学や専門学校は、日本のような入学試験はほとんどないに等しいが、単位を全て取得して資格を得るのはとても難しい。だから、大学や専門学校で一定レベル以上の資格を取得した人は、それだけの知識やスキルを持っていると社会全体でみなされる。

京都府が大学や大学院を卒業した留学生に許可しようとしている永住許可は、おそらく、卒業時点で仕事がなくても得られるのだろうし、京都に住まなければならないという制限もないのだろうと思う。もしそうであれば、卒業した留学生によって京都や周辺都市の活性化につながるという狙いは外れるだろうし、永住許可を与える意味はあまりないだろう。

これからも日本では、「海外からの留学生」や「海外からの移民」といったキーワードがニュースに登場することが増えてくると思う。そのときに、移民大国のニュージーランドの制度と比べて考えてみるのも、一つの視点になるだろう。

ニュージーランドのthe Study to Work category については以下をご覧ください。
Requirements under the Study to Work category