あたりまえだと思っている社会の外側に

日本では4月から、新しい学校に進学したり、就職したり、職場が変わったり、転勤したり、今までと環境が変わる人も多いだろう。

そこには、「社会」とか「現実」とか「日常生活」などと呼ばれているものがあって、新しい生活を始めてしばらくすると、それらにだんだん慣れてくる。そしていつの間にかそれらがあたりまえになって、自分が所属するのと同じ「社会」や「現実」や「日常生活」に、あたかも世界中の人達が同じように所属して、自分と同じような毎日を過ごしていると錯覚してしまう。

でも、自分が所属する、「社会」や「現実」や「日常生活」と呼ばれているものは、実はそこに所属している人達だけが共有している実態のない情報に過ぎない。

ほんとうは、それらの外側にさらにいろんな異なる「社会」や「現実」や「日常生活」があって、自分が普段出会わない人達が、そんな異なる情報空間で異なる時間を過ごしている。

それは、日本でずっと暮らしていると実感するのは難しいだろう。特に、ずっと同じ学校に通っていたり、ずっと同じ職場に勤めていたり、ずっと同じ場所で暮らしていたり、ずっと同じ人達とかかわっていたりすると、自分が所属する「社会」や「現実」や「日常生活」の外側にまた別の世界があることを想像することさえしなくなる。

逆に言えば、ずっと時間を過ごしてきた「社会」や「現実」や「日常生活」から一歩外にでると、自分が想像もしなかった社会や現実や日常生活があることを実感する。それは、おそらくそれまでの自分の人生を大きく変える。

もちろん、今目の前にある「社会」や「現実」や「日常生活」を大切にすることも必要だろう。でも、自分は、ずっとその中で生きて行くだけで、ほんとうにいいのだろうか。自分は、自分が所属する範囲だけの「社会」や「現実」や「日常生活」という情報空間でずっと生活し続けるのか。

そんなことを、この時期に一度考えてみてもいいのかもしれない。

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