ドアを叩け

できるだけ自分から積極的に、周囲の人達やできごとにかかわっていくようにと、留学生達にはアドバイスしている。

今年から留学を始めた高校留学生がいる。日本の中学3年生の3学期から3年間の予定で留学をスタートさせたので、今はまだ日本では中学生の年齢だ。1月末にニュージーランドに到着した後しばらくは、英語も通じず、どこに行って何をしていいのかもよくわからず、他の留学生達と同じように、生活に慣れるまで2週間ほどかかった。

その留学生は高校でラグビーをやっているのだけれど、先日の試合の後、汗をかいたユニフォームに身を包んで、こんなことを話してくれた。

「今日の昼休みに試合前のミーティングがあったんです。僕は事前に発表されたチームのメンバーには入っていなかったんですけれど、ミーティングに行ってみました。行ってみると、当然ですが、試合のメンバーに入っていない人は僕だけでした。でも、最後までミーティングに参加したんです。」

「そうしたら、試合前にユニフォームを渡されて、試合に出ることができたんです。」

すばらしいと思う。

もしその留学生が、ランチタイムの試合前のミーティングに行かなかったら、試合に出られなかったかもしれない。でも、メンバーに選ばれていなかったにもかかわらず、ミーティングに行ってみた。そして試合に出ることができた。

メンバーに選ばれていないのにミーティングに行くのは、勇気がいったと思う。君は何しに来たの?などと言われることも考えただろう。選ばれているメンバーから笑われるかもしれないと思いながらミーティング会場に向かったかもしれない。

でも、行ってみた。そうしたら、求めていたものを掴むことができた。

確かに、やってみた全てのことが、いい結果に結びつくとは限らない。

でも、せっかく留学に来たのであれば、とりあえず、自分で考えてやろうと思ったらやってみればいいのだ。

大げさに言えば、ニュージーランドはドアを叩けば開けてくれる国だと思う。ドアをノックする前に「たぶんだめだろう」などと考えて、ドアの前にも立たないのはすごくもったいないし、ドアの前まで来てノックせずにただ開くのを待っているのも、何かが足りない。

今、こんなことがやりたい、こんな目標がある、という留学生は、とりあえずドアの前に立って、そしてノックしてみればいいのだ。

新しいことはそこから始まるのだから。

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