雨が降っても取り込まない
ニュージーランドで留学を始めてすぐの人たちは、様々なカルチャーショックを受ける。
食器を洗って泡のまますすがないとか、雨の中裸足で傘も差さずに女子高生が歩いているとか、りんごをまるかじりしながらバスに乗っているとか、乗客が一人でタクシーの助手席に乗り込むとか、「えっ、なんで?」ということがたくさんある。
中でも多くの留学生達が口をそろえて言うのは、「雨が降っても洗濯物を取り込まない」ということだ。ホームステイから隣の庭が見えることもあるのだけれど、雨が降っていても、しかも大雨でも、大量の洗濯物を取り込む気配がない。そして雨が上がってしばらくしたら、何事もなかったかのように家の人が鼻歌でも歌いながら取り込んで、おそらくそのままたたんでしまうのだろう。
私もニュージーランドで暮らし始めた頃は、「何故雨が降っているのに洗濯物を取り込まないのだろう」と思っていた。けれど、最近は、自分の家でも取り込まないことがある。言い訳をすると、ニュージーランドの雨は突然ザーッと降ってきて、すぐにやんで青空が広がるし、今まで晴れていたのに急に大雨が降り出すし、天気予報はあまり当たらないし、洗濯物を干しっぱなしにしておくほうが理にかなっていると感じるのだ。でも実際はやはり、ニュージーランドの感覚に自分が慣れてきたのだろうと思う。
私が洗濯物を取り込まなくなるまでには16年の歳月が必要だったが、7月末から留学した短期留学生達の中には、初日に「りんごまるかじりなんて、ありえない」と言っていたけれど、今では平気でまるかじりしながら校内を歩いている学生もいる。彼らはわずか2週間で、ニュージーランドの感覚を身につけている。
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