あなた次第？
UenoT高校留学生がニュージーランドで留学生活をスタートさせた時、いろんなことに戸惑う。
その中でも特に戸惑うのが、「それはあなた次第です」と言われることだろう。
「英語力を向上させて、自分の英語の実力を知るために、TOEICなどの試験を受けたほうがいいと言う人もいるのですが、どうすればいいでしょうか？」と学校の先生に聞いたら、「何か目標を持つことはいいことだと思いますが、英語の試験を受けるかどうかはあなた次第です」と言われる。また、「ラグビー以外にも放課後に何かやりたいと思っているのですが、何がいいでしょうか？」とコーチに聞くと、「ラグビーにとってもプラスになることもあるし、全く別のことをやってもいいけれど、何をやるか、やらないかは君次第だ」と言われる。
そう言われた留学生達は、「せっかくどうすればいいのか聞いているのに、あなた次第とは無責任だ。もっとはっきりと、やるべきだとか、これをやればいい、と言ってくれればいいのに」と感じる。
でもニュージーランドでは、大人の友達同士でも、家族でも、職場の上司と部下でも、いろんな関係で、「それはあなた次第です」と言われる。
人に対して、自分の意見やアドバイスまでならなんとかできるけれど、これをしたらいいとかこれはだめだなどを「判断」することはできないと考えるからだ。判断するためにはその人のことをよく知っていることが必要だけれど、その人のことを一番良く知っているのはその人自身だから、最終的にはその人が自分で判断するのが最も良い選択だ、と考える。
それはあなた次第です、という言われ方に日本から来た留学生が慣れていないのは、日本では、周囲の大人達が自分のためにいろんなことを判断してくれるからだろう。判断どころか、最初からこれをしなさい、これはしてはいけません、とやることが決まっていて、自分で判断する余地がない。そんな環境で育ってきた人がいきなり「あなた次第です」と言われると、それは戸惑うだろう。
ニュージーランドに留学に来たら、「それはあなた次第です」と言われる。自分のことはとりあえず自分で考えて判断してやってみる、という環境なのだ。
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