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昨日こんなニュースが日本のサイトに掲載されていた。

「~電車が運転を見合せたためホームで乗客の対応にあたっていた車掌が、突然制服を脱ぎ捨てて線路に降りたあと、高架下に飛び降りて大けがをしました。直前に「もう嫌だ」などと叫んでいたということで、~(中略)車掌は別の駅で起きた人身事故の影響で電車が運転を見合わせたため、ホームで運転再開の見通しなどを乗客に説明していたところ、突然「もう嫌だ」などと叫んで線路に降りていったということです。~」

このニュースだけでは、車掌さんに何があったのかよくわからないので、彼がとった行動の是非についてもどう考えていいのか判断できない。

ただ、このニュースに関連する様々な意見をネットで読んでいると、車掌さんに同情的な意見が多い。同情的な意見の多くは、車掌さんは、駅で電車を待っている人達に詰め寄られたり暴言を吐かれたりして、精神的に耐えられなくなったのだろう、というものだ。そして、車掌さんにたいしてそんな態度をとった人達を責める意見も多い。

こんなネットの情報を見ると、日本では電車が運転を見合わせたときに、車掌さんに詰め寄ったり暴言を吐いたりする人がたくさんいて、多くの人がそんな光景を目にしたことがあるのかと想像してしまう。

数年前、ロトルアのスーパーマーケットで買い物をしていると、突然停電して、レジでの処理ができなくなった。スーパーの入り口は開いたままで次々にお客さんが入ってくるから、どんどんレジに行列ができた。そんな時、お客さん達は怒らずにずっと待っていた。そして、レジの人と会話をしたり、後ろに並んでいる見知らぬお客さんと笑顔で話をしたりしていた。

30分以上停電していたけれど、スーパーマーケットの店員さんに詰め寄ったり暴言を吐いたりする人は誰一人いなかった。

おそらくニュージーランドの人達はこう考えていたのだろうと思う。

「待つしかない」

店全体が停電している時、復旧を待つか、買い物したものを棚に戻して出ていくか、二つに一つだ。すぐに復旧するかもしれないと考えると、待つことを選ぶ人も多いだろう。そして待つからには、いらいらするよりも、誰かと話をしたりしながらのんびり楽しく待つほうがいい。誰かに怒ったりいらいらしたりしても、復旧する時間は全く変わらないのだから。

そう考えると、日本で電車が運転を見合わせたときに、車掌さんに詰め寄ったり暴言を吐いたりするのは、なぜなのだろうと思う。少なくとも、そうすることで電車が早く動き出すとは考えていないだろう。確かに、急いでいるときに電車が動かないといらいらする気持ちはわかる。けれど、そのいらいらを車掌さんにぶつけても、何も解決しない。

昨日のニュースで、車掌さんに同情する意見が多いのは少しほっとする反面、それはそんな光景を多くの人がよく目にするという意味でもあり、何とも言えない気持ちになった。

NHK NEWS WEB