絶対的な信用は裏切れない

日本ではあまりなじみがないかもしれないけれど、ニュージーランドなどでは、求人に応募する時や採用される時に、Reference Letter の提出が求められることが多い。

Reference Letter は日本語で言えば推薦状だ。仕事を探すとき以外でも、部屋を借りるときや何かの契約の時にも使われることもある。

もう十年以上前、私がある方にReference Letter の作成をお願いした。その方は、「面倒くさいからサインだけしたので、後は自分で書いといて」と、その方の会社のレターヘッドのついた正式な用紙に名前とサインを書いたものを3枚ほどくださった。

私がびっくりしていると、その方もきょとんとしている。もし私が「一億円を借りました」と書いたら、それは正式文書として採用される可能性も十分にあるし、事実でないことを書いても、その方にはわからない。

私がそのようなことを言うと、「まあ、何でも書けるけど、君はちゃんとするだろ?」と私の目を見ておっしゃった。

ニュージーランドで正式文書にサインをするということは、日本で言えば実印を押すに近い意味がある。サインをした人に100%の責任が問われる。

そのほぼ白紙の用紙を見た時、人間、完全に信用されたら絶対に裏切れないどころか、迷惑をかけるようなことは何があってもできないと感じて体が震える、ということを身をもって経験した。もちろん、正式書面に印刷する前に内容を見て頂いたし、Reference Letter を提出した結果についても詳しくご報告した。

今思い出しても緊張する経験だ。

私も、特に自分よりも若い人達のことは、一度信用しようと決めたら全面的に信用してみようと、その時に思った。

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