ビザは国が出すもの
日本でも、将来の人口減少をにらみ、労働力として他国からの移民を受け入れようという議論が始まっているようだ。
賛否両論いろいろな意見があるだろう。でも、最初からだめというのではなく、一つの選択肢として議論を始めることは、とてもいいことだと私は思う。そして、議論を尽くした上で、移民は受け入れないという結論になればそうすればいいし、受け入れる方向になれば、細かい部分をまた考えればいい。そして受け入れるのであれば、ビザの発給条件をどうするのかも重要な部分になるだろう。
私もニュージーランドで17年ほど暮らしているし、また、留学の仕事をしているので、ビザについては、日本の国籍を持って日本でずっと暮らしていらっしゃる方よりは、普段の生活でも気にすることが多い。
ウィキペディアによると、ビザ(査証)は、「国が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書である。」となっていて、「査証は在留許可(ないしは滞在許可)と混同されがちだが、査証が入国申請を行うための要件の一つであるのに対し、在留許可は入国するためあるいは入国後滞在を続けるための資格である。」とも書いてあるので、ビザは入国許可証、滞在許可証は滞在を許可する書類、ということになっている。
ただ、ニュージーランドの場合は、何年か前にVisa とPermit の違いがなくなり全てVisa と呼ばれるようになったこともあり、また、例えばニュージーランド移民局のサイトの学生ビザのページを見ても、「What a student visa allows. Find out how long you can stay, whether you can work while studying, who we will refuse entry to, ~」などという記述もあるので、Visa は入国許可書でありかつ滞在許可証でもある、と考えるのがわかりやすいと思う。
つまり、ニュージーランドでは、ニュージーランド国籍以外を持つ人々は、所持するビザが入国する時に移民局によって審査され入国が許可されるかどうか決まり、入国後はビザで許可された範囲内の条件で滞在する、ということになる。言い換えると、ニュージーランドにニュージーランド国籍以外で滞在を希望する人は、ニュージーランドという国から許可されて入国し、ニュージーランド国が許可した範囲内で滞在する、ということだ。
そして、ニュージーランド国が入国や滞在を許可するのだから、許可されるだけの条件をその人々が備えていることが必要だ。例えば就労ビザなら仕事があるとか、一定以上の収入が保証されているとか、学生ビザなら、学校から入学許可書が出ているとか、学費を払い込んでいるとか、帰国する手段が確保されている、などだ。
ニュージーランドに長期でいらっしゃる方は、ビザを「取得する」という言葉のイメージから、「必要書類をそろえて申請して、自分がビザを取る」ものだと考えている方も多いかもしれない。確かにそうなのだけれど、正確に言えばビザは、「入国、滞在する国が、外国籍の人々に発給する許可証」であり、ビザを所持して入国し滞在するということは、国が認めた条件で入国し滞在する、ということで、国が入国や滞在を認めるためには、申請者が一定の条件を満たしていなければならない、という意味である。だから、どちらかと言えば、自分で「取る」というよりは、国が他国民に「与える」というイメージで、主役は入国希望者ではなくて、許可を与える「国」だ。
ビザは、日本国籍を持って日本でずっと暮らしていらっしゃる方にはあまりぴんとこないものだけれど、長期留学を考えていらっしゃる方は、一度ビザについてその意味を理解しておかれるのがいいと思う。
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