偏差値30だったあの人が今では!って?

日本の学校、特に進学校と呼ばれているような学校では、「偏差値」という言葉は当たり前のように頻繁に使われているようだ。

そして最近は、偏差値という言葉は受験なんかには関係のない生活をしている人に対しても、ある一定の意味を持って使われるようにも思う。

「あの人は偏差値○○の大学を出ている」とか、「偏差値△△だった生徒が、今ではこんなに活躍している」などだ。学年ビリだった女子生徒が偏差値を40上げて大学に現役合格、などという映画が2~3年前に流行ったのも、偏差値という言葉の使い方にある一定の意味を持たせるきっかけになったのかもしれない。

でも、偏差値という言葉の意味を正確に理解している人は意外と少ないように思う。日本で一般的に使われている偏差値はおそらくいわゆる学力偏差値のことで、ウィキペディアによると、

「学力検査の得点(素点)を、全体の平均点と標準偏差により正規化した値である。一般に正規化する目的は、条件の異なるデータを比較しやすくすることである。特に、偏差値は、ある値が標本の中でどれくらいの位置にいるかを表す指標であるので、個々の試験の難易度の違いに左右されずに、生徒の学力、学習進度、受験における合格可能性を判定するために利用される」

とある。ポイントは2つあって、偏差値はあくまでも「(ある一つの)学力検査の得点」に基づくものであることと、「ある値が標本の中でどれくらいの位置にいるかを表す指標」である、つまり相対的な値であることだ。

だから、例えば偏差値30と言っても、どの試験でも30というのではなく、ある学力試験で30という偏差値が一度出るに過ぎない。言い換えると、全体の受験生の平均点や標準偏差が変わると、ある人の偏差値も当然変わる。自分がほとんど問題を解けずに得点が低くても、他の受験生がもっと低い得点しか取れなければ、偏差値は50を上回る。

つまり、偏差値とは、ある一つの試験での、他の受験生との一つの相対的な結果に過ぎない。だから、「彼女は偏差値××の生徒だ」などと言うのは本来はおかしい。

また、大学の偏差値は、予備校などがある模擬試験を実施した時に、ある大学・学部に入学できる可能性を示した値で、過去の同様の模試を受験した受験生の合格実績調査などからおおよその値が算出されるのだと思う。従って、この大学の偏差値は○○だというのは、ある一つの学力検査を対象とした合格可能性の推定数値だ。

でも、日本では、あの人は偏差値30だ、とか、あの大学はこの大学よりも偏差値が5高い、などと、いかにも偏差値がある人やある大学固有のものであるかのような表現をするし、そう信じている人もいるのかもしれない。もっと言えば、人や大学がその時固有の偏差値を与えられていて、その偏差値がその人やその大学の評価を表す、と考えている人もいるように思う。

そしてそれを前提として、「偏差値30の生徒が」と聞くと、その人がどんな人かをイメージする。

でも本来の偏差値の意味を考えると、「偏差値△△の人」という表現は正しい表現ではないし、ましてや特定の偏差値の数値だけでその人をイメージできるものではない。

そろそろ、偏差値△△の人、とか、偏差値○○の大学、などといって、そこからある人やある大学の一定のイメージを喚起させる、などということをやめにすればいいのではないか。

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