多様性とチャンス
ニュージーランドでは、転職するのはあたりまえのことだ。年齢、民族、性別などを採用の基準にしてはいけないという法律があり、求人欄にも年齢や性別は、基本的には書いていない。
求人は「あるポジション」、例えば、マネージャーとか、ウエイティングスタッフとか、スーパーバイザーとかに対して行われるので、「そのポジション」に合った資格や経験があれば、年齢や性別に関係なく採用される可能性が高くなる。
日本でも転職する人は多くなってきたようだけれど、まだ大学の新卒一括採用が幅をきかせている。言い換えれば、大学を卒業する時点で希望の職種に就けなかった人は、その後いくら資格を取り経験を積んでも、チャンスが限られている。年齢によってチャンス(機会)が限定されるというのは、まさしく不平等だ。
だから、ニュージーランドに比べて日本は、人生の中でチャンスが少ないシステムになっていると言える。その限られたチャンスをつかむために、みんな時間とエネルギーをかけて動く。そして大学生活は、就職活動に費やされる時間が増えていく。また、その大学に入るためのチャンスも限られている。ほとんどの大学生は18歳から20歳くらいの間に入学する。30歳になって大学に入って勉強して資格を取ろうと思っても、なかなかうまくいかない。日本には、国全体としてそういうシステムがほとんどないからだ。
私がニュージーランドに移住した時は、すでにワーホリビザを申請できない年齢になっていたけれど、仕事のチャンスはあった。それから10年ほど経って、仕事をしながらポリテクで資格を取ったけれど、周囲には私と同じような年齢の人達が、私と同じように仕事をしながら勉強をしていた。一つの教室にいろんな年齢、いろんな民族の男女がいることに、全く違和感がなかった。
この多様性こそが、ニュージーランドにはチャンスがたくさんあるという証拠だ。
だから、ニュージーランドでの留学を終えて日本で進学したり就職したりするのは、チャンスがより少ない社会で生きていく選択をする、という意味でもある。そのことを、高校留学生も卒業時点でよく理解する必要があるし、ポリテクや大学で留学をする人も、よくわかっておく必要があるだろう。
キックオフNZのSNS