そう言うのであれば

私たちは、十代、二十代の、長期の留学生達と毎日のように話をしている。

留学が始まった頃は、お互いに相手のことを「どんな人だろう」と思っているけれど、時間が経つにつれて、気心も知れてきて、いろんなことを話せるようになってくる。

けれどだからと言って、全ての留学生が、心の内や起こった出来事を何もかも話してくれる訳ではない。ほんとうのことをあえて言わないこともあるだろうし、起こったことの都合のいい部分だけを選んで話してくれることもあるだろう。高校留学生の年齢では、親御さんと同年代の私たちにあっけらかんと全てを話してくれることのほうが、どちらかと言えば珍しい。

だから話を聞いていても、「うんっ?前に言っていたこととちょっと違うんじゃないだろうか?」とか、「これで話は全部だろうか?」などと感じることも確かにある。

でも、私たちは、留学生本人がそう言うのであれば、きっとそうなのだろう、と思うようにしている。学生に対して、「あなたはほんとうのことを言ってないだろう」とか「事実を隠しているだろう」などと決めつけて言うことは、間違ってもない。

彼らが、事実と違うことを言っていることもあるかもしれないし、起こったことの都合のいい部分だけを話しているのかもしれない。我々がそれに対して、「うそだ」とか「何か隠している」と言うのはとても簡単だ。

しかし、我々が学生達を信用しなければ、どうして学生達が私たちを信用してくれるのだろうか、と思う。

現地でサポートをしている私たちに、全ての留学生が心の内や出来事の全てを包み隠さずに話してくれれば、それはそれでいいことだと思う。でも、家族にも、また友達にさえ言わないことを我々に言ってくれることを期待するのは難しいだろうし、安全に支障がない限り、根掘り葉掘り聞くこともないと思う。

留学生が何を言っても、我々は、留学生本人がそう言うのであれば、きっとそうなのだろうと思う。それが我々のやり方だ。

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