「普通」ではなく「自分」
UenoTニュージーランドで長く暮していて感じるのは、人はひとり一人違うことを前提にした社会だということだ。
だからニュージーランドの人達は、目の前にいる人、同じグループにいる人、社会の中の人、ニュージーランドで暮している人、そして世界中の人、みんながそれぞれ違うということをいつも頭の中に置いて、コミュニケーションをしているように思う。
そこにはまず、自分はその人のことを理解していないかもしれない、という基本的な態度がある。自分とその人は違うのだから、理解できないことも当然あるだろうという態度だ。
そしてそこから、相手を想像するという態度が生まれる。自分とその人は違うのだから、理解できない部分があるのだから、その人のことを自分なりに想像してみる。もしかするとその人は、こういうことを考え、こういうことを感じ、こういうバックグラウンドがあり、自分とは違う何かを持っているのかもしれない、と想像する。
逆に言えば、ニュージーランドにいると、自分が周りの人と違っていても、それほど気にならない。違うことが前提で、違うことを受け入れてくれる社会だからだ。
留学生活をスタートさせた時、ここに違和感を感じる留学生も多い。日本で、周りを見て、人とできるだけ歩調を合わせて、人と同じことをしようとしてきた人は特に、ニュージーランドの「人はひとり一人違うことを前提にした社会」にとまどう。
そういう留学生は、「普通はどうなんですか？」「他の留学生はどうしているのですか？」「今まではどうだったんですか？」と聞く。
その質問に対してはそれぞれの例を伝えることはできるけれど、その後で、一般的にはそうだし、他の留学生はそうしている人もいるし、今まではこのようなこともあったけれど、今は、あなたはどうするのかを考えてください、とも伝える。
ニュージーランドで暮らすときには、自分を周囲に合わせることを第一に考えなくてもいい。自分を「普通」や「一般」に寄せる必要はない。
まずは自分の個性や自分の考え、自分のやり方をよく見つめて、「普通」や「一般」に引きずられないようにする。
だって、自分は人とは違うのだから。「普通」とか「一般」とかいう「自分」はないのだから。
だから、ニュージーランドに来たら、「普通」とか「他の人」とか「今まで」とか、そんなことは後にして、まずは、「自分」を感じ、考えてみるのがいいだろう。
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