3月15日クライストチャーチで私が見て感じたこと その1

3月15日金曜日、クライストチャーチでの銃撃事件があったとき、私は事件現場からそれほど遠くないショッピングモールにいた。

その日私がクライストチャーチで見たことを、少し長くなるけれど、ここに書き留めておこうと思う。

軽いランチの後、一人でモールの中でパソコンを使って、昨年卒業した留学生達や、体調が悪く当日学校を休んでいた留学生と、メッセージのやりとりをしていた。最初の銃撃があったのがおそらくその頃だと思う。まだニュースにもなっていなかった。1時半から2時前頃だ。

少しメールなどをしてから、モールの中をうろうろして2階のフードコートでまたパソコンを開いたところで、ショッピングモールのスタッフに声をかけられた。2時半過ぎだったと思う。

「ここはロックダウンするので、出てください」

最初は何を言われているのかよくわからなかった。けれど、ふとみるとモールの中の映画館のシャッターが閉まり始めていたし、1階の店舗の幾つかもシャッターを閉めていた。他のお客さんも駐車場に向かって歩いていた。

その頃はおそらくみんな何が起っていたのか、なぜロックダウンなのか、わかっている人はそれほど多くなかったと思う。みんなのんびり、笑顔で移動していた。ただ、ショッピングモールがロックダウンするのはかなりまれなことで、何か大きなことが起ったのだろうという意識はあった。

モールにいた全員が一斉に車で外に出たので、駐車場から出た道路は当然のように混んでいた。渋滞をしばらく進むと、最初の交差点で、町の中心に向かう道路が閉鎖されていた。町の方からは車がくるけれど、町のほうには行かないように、右折レーンはコーンが置いてあり、警官が立って誘導していた。

その時点で、町の中心部で何かあったことは予想できたけれど、中心部が全てロックダウン状態だとは思わなかったし、まだ何が起っているのかもわからなかった。

交差点をまっすぐ抜けてすぐのところで、何台かのパトカーがサイレンを鳴らして猛スピードで走り抜けていった。また、目の前で、町に向かう道路が次々に警官によって閉鎖されていった。それが3時前から3時半の間だ。

犯人がつかまったのが3時半頃だったので、その頃はちょうど犯人を追跡中だったのだろう。後から調べると、犯人が逃走していた場所とは少し離れていたけれど、車で逃走している犯人を警察が車で追跡していたので、もしかしたら私がいた方向に来ていた可能性もあったと思う。

それを考えると、警察の素早い行動、道路の封鎖、ショッピングモールのロックダウンも、適切で迅速な対処だったと思う。

平日の3時過ぎは、いつもは小中高校生の下校時間で、たくさんの児童生徒が道を歩いているし、お迎えの車も多い時間だ。でも、3月15日金曜日の3時過ぎは、全く子ども達を見かけなかった。すでにその時間は、全ての学校がロックダウンされていた。

学校のロックダウンは午後6時頃まで続いたようだ。もちろん、保護者も迎えに行けない。けれど、メールや学校のウエブサイト、SNSなどで、状況は逐次情報発信されていたようだ。保護者はそれはそれは心配だっただろうけれど、犯人の人数も確定していない状況で、学校やショッピングモールがロックダウンされている状態であれば、保護者も家で待機して学校からの連絡を待つ、というのは、クライストチャーチ市民の安全を優先した、とても適切な対処だと思う。

クライストチャーチだけではなく、ロトルアを含めたニュージーランド全ての学校では、年に何度かロックダウンの訓練をする。例えば銃を持った人が学校周辺にいるという情報があったという前提で、学校の全てのドアを閉め、児童生徒を安全な場所に誘導し、最終判断を誰がして情報伝達をどのようにするか、などを訓練する。

ロックダウン訓練が学校で何度か行われていることはもちろん保護者も承知しているし、保護者もどういう行動が必要か頭に入っているので、先日本当にロックダウンが行われた場合にも、学校の先生だけではなく、児童生徒、保護者も全て冷静に行動できたのだと思う。

私はその日の夕方のロトルア行きの飛行機を取っていたので、少し早いとは思ったけれど、空港に向かって車を走らせ、空港近くのガソリンスタンドで3時半ころに給油をした。昨日のブログでも書いたけれど、その時に見た弊社スタッフからのメッセージで、Shooting があったことを知り、その場でクライストチャーチの留学生達にメッセージで安全確認をした。

空港近くのガソリンスタンド内、また、そこから見える風景は、普段と全く変わりはなかった。もしかしたら、まだ事件があったことを知らない人も多かったのかもしれないし、状況を把握している人達も少なかったと思う。

4時前にレンタカーを返したときも、レンタカー屋さんのスタッフもあまり状況を把握していなかった。営業は通常通り行われていたし、他のお客さんも何事もないような様子だった。

そこで私がネットでを確認すると、その時点で、少なくとも27名が死亡、というニュースが出ていた。それをレンタカー屋さんのスタッフに伝えると、とても驚いていた。

事件発生からまだ2時間。犯人逮捕からまだ30分弱。テレビのニュースはおそらくやってなかったと思う。その時私がニュースを見たのは、フェイスブックのOtago Daily Timesか、The Press だったと思う。まだ第一報に近かったのだろう。

空港では、どこかから到着した人達が、大きなバックパックを背負って、シャトルバスやタクシーで町に向かうところだった。シャトルバスもタクシーもまだ走っていたので、町の中心や学校、ショッピングモールがロックダウンされていることは、全ての人達には伝わっていなかったのかもしれない。

(長くなるので、明日に続きます)

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