クライストチャーチの銃撃事件について

3月15日金曜日の午後、クライストチャーチで悲しい銃撃事件が起こった。

このような事件がニュージーランドで過去に起こったことはない。留学生の親御さんやご家族もとても心配されていると思う。

なんと言っていいのか、言葉がない。50人もの命が奪われ、多数の怪我人も出た。金曜日の午後はクライストチャーチの学校は大学から小学校まで全て、また、現場近くのショッピングモールもロックダウン(完全閉鎖)され、市内中心部は立ち入り禁止になった。

犯人は逮捕されたけれど、この事件の衝撃は、クライストチャーチだけではなく、ニュージーランド全土に長く残るだろう。

実は私は当日クライストチャーチにいた。事件があった1時40分頃は、現場から1.5キロほど離れたショッピングモールにいて、その後3時半頃に犯人がつかまるまでの間、クライストチャーチ市内を空港に向かって車で運転していた。

市内を運転中、たくさんの警察の車がサイレンを鳴らして走っているのを見た。また、市内中心部に向かう道路が次々と閉鎖されていくのも車の中から目撃した。

運転中は何が起っているのかよくわからなかったが、3時半頃に停まったガソリンスタンドで、弊社のクライストチャーチのスタッフから、市内でShooting があり7名がなくなったとのメッセージが入っているのを見て事件を知った。すぐにその場からクライストチャーチの留学生達に連絡をして無事を確認し、日本の保護者に各自連絡をするように伝えた。

当日の夕方のクライストチャーチ空港では、武装した警官がたくさん緊張した雰囲気で立っていた。また、空港のスタッフやおそらくボランティアの人達もたくさん空港内を巡回していた。

ニュージーランドの首相のJacinda Ardern 氏は事件が起った15日の夜の会見で、

“It is one of New Zealand’s darkest days.”

と表現し、移民や難民の方々に対して、

“New Zealand is their home. They are us.”

という力強いメッセージを送った。このメッセージを聞いて、ニュージーランド国内の移民や難民の人達は、とても安心したと思う。また、犯人達に対しては、

“There is no place in our home for them. ”

と厳しく非難した。

また翌日16日土曜日朝の会見では、銃器類に関連する法律に関して、

“Now is the time for change.”

と明言し、法律により銃規制を厳しくすることを示した。

今朝までにすでに、被害者とその家族に対する630万ドルの寄付が集まっているという。これからさらに増えるだろう。

ニュージーランドは平和で安全な国だ。その国で起った事件。これからまだ新しい情報が出てくるだろうけれど、これで、ニュージーランドはもはや平和で安全な国ではなくなった、などとなってほしくないと願うし、もっと言えば、世界のどこでももはや平和で安全な場所はない、ともなってほしくない。

また、この事件が強い「怒り」をニュージーランドや世界に生み出し、その感情のまま報復が繰り返されないことも強く願う。

事件があった日からニュージーランドのSNSでは、ムスリムの人達に対して、「不安なら一緒に歩きますよ」とか「バスや電車で横に座りますよ」などというメッセージがたくさん出ているとのことだし、ニュージーランド各地のモスクにはたくさんの花が届けられているそうだ。

ほんとうにショックで悲しい事件だ。これからの影響も大きいだろう。だけど、ニュージーランドの人々やリーダー達の行動言動を見ると、人々は不安や恐怖ばかりを感じているわけではないことがよくわかる。

この事件をどうとらえ、これから何をどうしていけばいいのか。国として、ひとり一人のNew Zealanderとして、どう考えどう行動していけばいいのか。そんなことがこれから少しずつ明確になって、みんながそこに向かって進んで行く。ニュージーランドはそんなところだと私は思う。

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