留学の目的
「「ワーキングホリデーに行こうと思ってる」と友達に言うと、「ワーキングホリデーって、ただのホリデーとどう違うの?1年後に日本に帰ってきてどうするの?」と聞かれました。
そう聞かれると、どう違うのか、なぜワーホリなのか、自分でもきっちり説明できません。」
「「海外の大学に留学したい」と、親に言うと、「なぜ日本の大学じゃないんだ?」と言われました。そう言われると、
なぜ海外の大学なのか、自分でうまく説明できません。」
留学にもいろいろあります。語学留学、ワーキングホリデー、大学(院)やポリテクなどへの正規留学、高校留学など。勉強する学校やビザの種類によっていろいろな分け方があります。最近では、親子留学、シニア留学などのカテゴリーもあります。
先日、「学ぶ」というコラムで、学ぶのに遅すぎるということはない、学ぼうと思ったその時が学ぶ時だ、と書きました。友達がMBAのコースに通っていようが、自分が英語力をつけたいのなら、年齢に関係なく語学学校に通っても全くかまわない、と言いました。ワーホリで過ごす1年も、目的を持っていろいろなことにチャレンジすれば、日本では学べないこともたくさん学べる、とも書きました。
全くその通りです。
しかし、1年とか2年とか留学した後日本に帰って、「何を学んできたの?」と聞かれた時、なかなかうまく答えられません。確実に日本にいるよりは多くのこと、日本では学べないことを学んで来たのに、「これとこれを学びました。」と言えない。
それは、自分が毎日毎日経験したことであって、考えたことであって、自分自身の変化であって、受けたショックであって、出会った人の影響であって、失敗であって、成功であるのだけれども、自分自身でしかわからないもので、ひょっとしたら自分自身でもわかっていないことで、そんなことを他人に説明するのは難しい。
じゃあ、留学というのは、そこで学んだことは自分だけがわかっていればそれでいいのか、自分の満足のためだけに留学するのか、というと、そうではない。むしろ、留学時に学んだこと、得たものをいわゆる「キャリア」として他人にもアピールする、ということが留学の大きな目的である場合も多い。
それは、語学留学をしてTOEIC800点とるとか、ニュージーランドの高校を卒業するとか、ワーホリの間にスキーのインストラクターの資格を取るとか、ポリテクでボートビルディングの資格を取るとか、マッセイ大学で会計学を修了するとか、それこそMBAを修了するとか、目に見えるもの、説明しやすい結果を得るということです。そしてそれは、いろんな理由で日本では取得しにくいもので、いわゆる「キャリア」として評価されるものです。
こうやって考えると、留学の目的には大きく2つあります。
一つは、自分自身の成長や変化のため。もう一つは、その成長や変化を社会で生かす、あるいはそれをキャリアとして社会に認めさせる目的です。
内的な目的と外的な目的と言ってもいいかもしれません。
では、最初の質問、
「ワーキングホリデーって、ただのホリデーとどう違うの?1年後に日本に帰ってきてどうするの?」
ということですけれども、内的な目的(具体的な自分自身の成長や変化に対する目的)を持っていれば、ワーホリはただのホリデーとは違ってきます。また、外的な目的を持っていれば、1年後日本に帰ってからどうするのか他人に説明できると思います。
また、「なぜ日本の大学じゃないんだ?」
という問いにも外的な目的をもって答えられると思います。
じゃあ、「素朴な質問。ワーホリや留学に目的は必要なの?ただのホリデーでいいじゃん。」と言われそうです。そうです。確かに留学に目的なんかなくてもいいです。ワーホリはただのホリデーでもOKです。以前にも言いましたが、学ぼうと思ったときが学ぶときであり、人が何をしていようが自分が決めた道を行くべきです。
しかし、あえて言うとすれば、留学やワーホリに対して自分が使った、時間やお金やエネルギーが、留学が終わった後自分にどう影響を与えるのか。それを留学前にあるいは留学中に、ちょっとだけ考えてみてもいいのではないかと思います。
また、留学が終わっても地球上のどこかで生きていかなければならないのです。せっかく大きな決断をして、限られた時間とお金を使うのだから、そこで、留学が終わった後の社会の中での自分のポジションを考えることも大切だと思います。
1日24時間、1年365日、人は何かをして過ごさなければなりません。何をするのかを決めるのは自分自身です。そして、自分で自由になるお金にも限度があります。
留学しよう、と決めた時、その限られた時間とお金と自分のエネルギーをどう使うのか。そして、自分と社会とはどう関わっていくのか。つまり、留学した自分と社会とのバランスをどこでとるのか。それをほんの少しの時間考えてみても損はないと思います。
それを考えた結果が、その人の留学の目的なのではないでしょうか。
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